院長コラム

当院における月経困難症治療薬「アリッサ錠」の使い方

月経困難症の治療には、鎮痛剤、漢方薬、女性ホルモン製剤などを使うことが多いですが、女性ホルモン製剤の中でも低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)が治療の柱になっています。
LEPには様々な種類がありますが、2024年の12月に発売された「アリッサ錠」を処方するケースが、当院では最近増えてきました。
今回は、比較的新しい「アリッサ錠」の特徴と当院での使い方について情報共有したいと思います。

アリッサ錠に含まれるエストロゲン「E4」
LEPはエストロゲンとプロゲスチンとの配合薬であり、従来のLEPに含まれているエストロゲンは全て合成型(人工的)であるエチニルエストラジオール「EE」です。
一方、アリッサ錠に含まれているエストロゲンは、天然型、つまり人の体内で作られるエストロゲンと同じ成分であるエステトロール「E4」です。E4は胎児の肝臓から作られるエストロゲンで、妊婦さんの血中にも認められる事が知られています。
エストロゲンには血栓を作りやすいというデメリットがありますが、E4はEEに比べて血栓を作りにくい事が知られており、アリッサ錠は従来のLEPに比べて血栓症のリスクが低いと言えます。

24日間実薬服用+4日間休薬の周期的服用
基本的なアリッサ錠の飲み方は、月経が始まったらホルモン成分が入っている実薬(ピンク)を一日一錠、毎日同じ時間に24日間服用して頂きます。
その後、25日目から4日間はホルモンの成分の入っていない偽薬(プラセボ:白色)を飲んで頂き、この間に月経様の出血が始まります。
ただし、ほとんどの場合、通常の月経時よりも出血量は減少し、下腹部痛(いわいる月経痛)は軽快することが知られています。

当院でのアリッサ錠の使用法
アリッサ錠のポイントとしては「血栓症リスクの少ない、周期的に出血をおこさせるLEP」であると考えています。
そのため、比較的血栓症リスクの高い40歳以上の方、軽度の高血圧・肥満の方、前兆のない片頭痛持ちの方など、LEP禁忌ではないものの、血栓症リスクが高めの方には、アリッサ錠を第一候補に考えています。
また、当院では、できるだけ月経様出血の回数を減らす「連続服用」をお勧めすることが多いですが、血栓症リスクの高い方で、月一回の出血を容認(むしろ希望)している方には、アリッサ錠を強く推奨しています。

国内で発売されてから、まだ1年余りの新しい薬剤ですが、臨床的に様々なメリットや特徴が報告されるようになってきました。
もちろん、アリッサ錠といえどもLEPでありますので、血栓症の発生をはじめとする副作用に関して、十分に注意して処方しております。
月経困難症に困っている方の生活の質を向上させるために、お一人おひとりに合った薬剤の選択・提供をこれからも心掛けて参ります。