院長コラム
当院でのホルモン治療の際に気になったこと
婦人科診療では、主に思春期・性成熟期・更年期の女性が対象であり、様々なホルモン剤を用いた治療を行っています。
中には、私の説明が不十分であったため、間違ってご理解していらっしゃる方もおられます。
今回は、実際の診察で気になったことをお伝えし、情報共有したいと思います。
気になった誤解① 更年期障害治療としてHRTを行っている場合、60歳になったらやめなければならない
月経困難症の治療としてLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬:ヤーズフレックス配合錠、ジェミーナ配合錠など)を使用することが広まってきました。
LEPは治療薬ですが、避妊目的で使用する低用量ピル(OC:経口避妊薬 ラベルフィーユ錠、トリキュラー錠など)と同じ成分ですので、当然ながら避妊効果はOCと同様にほぼ100%あります。
つまり、月経困難症の治療目的で保険が適応されるのがLEP、あくまでも避妊目的のため自費になるのがOCです。
言い換えると、LEPも避妊効果があり、OCも月経困難症の軽減が期待できます。
LEP服用中の方は、避妊したいからといって、くれぐれもOCを一緒に服用することがありませんように、お願い致します。
気になった誤解② 更年期障害治療としてHRTを行っている場合、60歳になったらやめなければならない
エストロゲンという女性ホルモンが低下すると、のぼせ・発汗といった更年期症状がみられたり、骨密度が低下し骨粗しょう症のリスクが高まります。
そのため、更年期障害や閉経後骨粗しょう症の治療として、エストロゲンを補充するHRT(ホルモン補充療法)が主流となっています。
ただし、エストロゲンには血栓症のリスクがあるため、閉経後10年以上経過した方や、60歳以上の方が初めてHRTを開始する際には、心筋梗塞や脳梗塞などの病気に特に注意必要があります。
一方で、すでにHRTを行っている方の場合、年齢的な使用上限はありませんので、60歳になられたからと言って、必ずしもHRTをやめる必要はありません。
ちなみに当院では、HRTを行っている方が60歳になられた場合、年に一回はHRTを継続するか否か、ご本人とご相談させて頂いております。
月経困難症・月経前症候群・更年期障害といった疾患は、ホルモン剤が非常に有用な場合があります。
ただし、ホルモン剤の使い方によっては、効果が弱くなってしまうケースや、むしろ健康被害をきたしてしまうケースもあり、使用には注意が必要です。
私自身、HRTの意義や注意点について、もっとわかりやすく患者さんに説明することを心掛けていこう、と考えております。