院長コラム

小学校6年生~高校1年生相当の女子の皆さん、夏休みにHPVワクチン接種はいかがですか?

子宮の出口に発生する子宮頚がんのほとんどが、発がん性の高いHPV(ヒトパピローマウイスル)の感染が原因です。
HPVは性交により感染するため、性交経験を持つ前に手を打つことが重要であり、HPVの感染を防ぐ唯一の方法がHPVワクチン接種です。
今回は、無料で接種することが可能な小学校6年生~高校1年生相当の女子(定期接種世代)に向けて、HPVが原因の病気についてお話します。

女性の80人に1人は将来子宮頚がんに!
ある報告によると、生涯で子宮頚がんになるリスクは1.3%と言われており、女性の80人に一人に相当します。また、子宮頚がんで死亡する確率は0.3%で、女性の300人に一人に相当します。
一見すると確率が低いかも知れませんが、年齢別罹患率でみると20代中盤から40代前半が急増しており、妊娠・分娩を考えている女性を直撃するがんと言えます。
尚、20代、30代で最もかかりやすいがんが子宮頚がん(上皮内癌を含む)ですが、性交前にHPVワクチンを接種することで子宮頚がんに罹患するリスクを70~90%下げる事ができます。

子宮頚がんの治療により、妊娠ができなくなることも!
前がん病変やごく初期のがんの場合、子宮頚部の一部を切除する手術を行う事があります。その場合は子宮本体が残るため、妊娠することは可能ですが、流早産のリスクが高まることが知られています。
進行した子宮頚がんの場合は、子宮全摘が必要なため、術後は当然妊娠することはできなくなります。
更に、術後に化学療法や放射線治療などの追加治療が必要になる場合もあり、様々な後遺症や副作用が現れる可能性があります。
もちろん、早期発見・早期治療のためには、20歳以上の性交経験のある女性が定期的に子宮頚がん検診を受けて頂く事は有用ですが、そもそもHPVワクチンを接種してHPVに感染しないようにしていれば、治療する必要もなくなり、治療による妊娠・分娩への影響を心配することもありません。

尖圭コンジローマも非常に厄介!
発がん性の低いタイプのHPVの中には、尖圭コンジローマという性感染症の原因ウイルスである2タイプがあります。
がん化することがありませんが、外陰部や肛門周囲、膣内や子宮頚部に鶏冠のようなイボを発生させる病気です。
ベセルナクリームという外用剤の塗布、イボの外科的切除、レーザー蒸散などの治療が行われますが、再発することが多く、厄介で鬱陶しい感染症です。
もし、妊婦さんの産道に尖圭コンジローマがあるにもかかわらず、経腟分娩をした場合、赤ちゃんの喉にイボが多発して、窒息してしまう可能性があります。
このような尖圭コンジローマを予防するためには、男性の接種も可能な4価ワクチンや、現在主流の9価ワクチンの接種以外にはありません。

ワクチン接種には副反応があり、様々な考え方があるため、私自身は「絶対に接種しましょう」とは考えておらず、ご本人が宗教的・思想的にワクチン接種をしたくないのであれば、その考え方や生き方を尊重します。
ただし、「情報は聞いたけど、まわりの友達が接種してないから、自分も打たない」といった程度の方には、HPVワクチン接種を強くお勧めします。
尚、ご本人がHPVワクチン接種を希望している場合、保護者の方も是非ワクチン接種にご理解頂きますよう、宜しくお願い申し上げます。