院長コラム

妊婦さんに有用な漢方薬と注意すべき漢方薬

妊娠中の様々なトラブルに対して、漢方薬が功を奏するケースは数多くあります。
一方で、妊娠中は避けた方がいい生薬を含んだ漢方薬も存在します。
今回は、クラシエ薬品株式会社の資料を基に、妊婦さんに有用な漢方薬と注意が必要な漢方薬について情報共有致します。

妊娠中から産後のトラブルに有用な漢方薬
つわり・悪阻に対し、当院では小半夏加茯苓湯(ショウハンゲカブクリョウトウ)を第一選択としています。喉のつかえ感などがある方には半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)を処方することもあります。
鉄欠乏性貧血に対しては鉄剤が第一選択ですが、貧血が強い方や疲労感を認める方には人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)を処方しています。
むくみが強い方には、当院では柴苓湯(サイレイトウ)を使用しています。むくみに加え、めまい、頭痛がみられる場合には、五苓散(ゴレイサン)、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)を使用することがあります。
その他、感冒の初期には葛根湯(カッコントウ)を3日間程度、アレルギー性鼻炎には小青竜湯(ショウセイリュウトウ)を数週間、こむら返りには芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)を頓服で使用することがあります。

妊娠中や授乳中に注意が必要な漢方薬
数多くの生薬の内、特に大黄(ダイオウ)、桃仁(トウニン)、牡丹皮(ボタンピ)などは流早産の危険性があると言われています。
そのため、これらの生薬を含む漢方薬である加味逍遙散(カミショウヨウサン)、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)、桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)、防風通聖散(ボウフウツウショウサン)柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)などは、妊婦さんや妊娠している可能性はある女性は避けた方が無難でしょう。
また、附子(ブシ)には動悸やしびれなどの副作用が現れやすいことから、附子が含まれる真武湯(シンブトウ)なども注意して服用する必要があります。
尚、大黄が含まれる漢方薬(桃核承気湯、防風通聖散など)を授乳中に服用すると、赤ちゃんが下痢を起こす可能性があるため、これらの漢方薬は避けた方がいいでしょう。

漢方薬によって胎児奇形がみられたとの報告はありませんが、妊娠前から服用している漢方薬がある場合には、妊娠が判明した段階で産婦人科主治医に相談しましょう。
特に、月経困難症や月経前症候群、月経不順などで加味逍遙散や桂枝茯苓丸を服用している方は、妊娠反応が陽性に出たら一旦休薬することをお勧めします。
それでも、妊婦さんや授乳婦さんに有用な漢方薬は多いですので、注意事項は守りつつ、適切に服用しましょう。