院長コラム

妊娠中・出産後の喫煙は絶対やめましょう

東京都では受動喫煙、特に子供の受動喫煙の問題に積極的に取り組んでおり、平成30年4月1日より「子どもを受動喫煙から守る条例」が施行されております。
今回は、喫煙が妊娠や子どもに与える影響について説明します。

 

 

喫煙が妊娠経過にもたらす影響

○女性不妊

喫煙による性ホルモンの失調や卵管機能不全
から、不妊のリスクが2倍になります。
将来的に妊娠を希望する女性は、初めからタバコを吸わないようにしましょう。

 

○異所性妊娠(子宮外妊娠)・前置胎盤・常位胎盤早期剥離・妊娠高血圧症候群

胎児だけでなく、母体の健康に大きな影響を及ぼすような上記疾患のリスクが、2.5~3倍に増えます。

 

○流早産・前期破水・胎児発育不全・低出生体重児・

流早産のリスクは1.25~1.5倍、前期破水は2~3倍、胎児発育不全は2倍に増加します。
また、低出生体重児のリスクは1.5に増加し、平均200~250g少ないといわれています。

 

○ メンタルヘルスの悪化

精神的不調は3.3倍、うつ病2.1倍、パニック障害は3.1倍リスクが高まります。その結果、子どもの養育に悪影響を及ぼすことになります。

 

○ 乳汁分泌低下

プロラクチンというホルモンは乳汁分泌の促進するホルモンですが、タバコに含まれるニコチンはプロラクチンの分泌を抑制してしまうため、喫煙にて乳汁分泌が低下します。

 

 

受動喫煙が子どもの健康に及ぼす影響

○乳幼児突然死房症候群(SIDS)

出生前後の母親の喫煙により、発症リスクが2~5倍になることが知られています。
更に、両親がともに喫煙する場合のリスクは10倍になります。

 

○呼吸器疾患

妊婦の喫煙により胎児の呼吸器の成熟が遅れ、出生後の受動喫煙により免疫力が低下するため、気管支炎・肺炎のリスクが2倍、気管支喘息のリスクは1.5倍も高まります。

 

○先天異常・小児がん

妊婦の喫煙は、胎児の遺伝子や器官形成細胞にダメージを与え、先天異常や小児がんの発症リスクを増大させます。

 

 

その他にも、妊婦の喫煙は子どもの心身の発達に大きな影響を及ぼします。
後悔先に立たず。
そもそもタバコを吸わないのが一番いいですが、せめて、妊娠を希望するようになったら禁煙し、遅くても妊娠が判明した段階で母親だけでなく父親も一緒に禁煙しましょう。