院長コラム

呼吸器系の疾患に用いる漢方薬

当院では、妊婦さん、授乳婦さんに対して漢方薬を用いることが多いですが、今回は呼吸器系の疾患に使用する「葛根湯」「小青竜湯」「麦門冬湯」などについて説明します。

 

 

「葛根湯」

《効能》
自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症:
感冒、鼻かぜ、炎症性疾患(結膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ節炎)、肩こりなど

葛根湯は炎症を抑える作用があるため、当院では、風邪のひき初めに3日間処方することが多く、その後は症状に応じて他の漢方薬や西洋薬に切り替えます。

また、筋肉の緊張をほぐす作用もあるため、肩こりをきたす方には長期にわたり使用することもあります。

授乳婦さんには感冒以外に、乳腺炎の初期に用いることが多く、乳汁うっ滞による物理的な炎症と思われる場合は、1週間ほど処方します。

疼痛が強い方には消炎鎮痛剤を併用することもあり、細菌感染による乳腺炎に移行した場合は、抗生剤へ切り替えます。

 

 

「葛根湯加川キュウ辛夷」

《効能》
鼻づまり、蓄膿症、慢性鼻炎

鼻閉感が強い感冒に対して、当院では第1選択として1週間ほど処方します。

鼻汁、くしゃみが主体であれば後述の小青竜湯へ切り替え、または併用します。

 

 

「小青竜湯」

《効能》
下記疾患における水様の痰、水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、咳嗽、流涙:
気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒

軽度から中等度の花粉症の方には、第1選択として、まずは約2週間処方しています。鼻症状、眼症状が強ければ、抗アレルギー点鼻薬、点眼薬を併用します。
2週間で症状が軽快していれば、引き続き追加処方します。

もし、鼻汁、くしゃみなどが軽快しない時は、西洋薬の抗アレルギー剤に切り替えます。また、咳、痰が強い場合は、西洋薬の鎮咳薬、去痰剤の併用や切り替えを行います。

 

 

「麦門冬湯」

《効能》
痰の切れにくい咳、気管支炎、気管支喘息

乾いた咳に用いることが多く、西洋薬の鎮咳薬、去痰剤や気管支拡張剤と併用することも少なくありません。

 

妊娠中も授乳中も、安心して服用して頂ける薬物を選択しています。
つらい症状を我慢しないで、ご相談下さい。