院長コラム
人工妊娠中絶の二つの方法
妊娠の継続が母体の健康に大きな影響を及ぼす場合や、性被害により妊娠してしまった場合は、妊娠22週未満に限り人工的に妊娠を終了させることが法律で認められています。
戸籍上あるいは事実婚の配偶者がいらっしゃる場合は、ご本人と配偶者の同意が必要ですが、未婚の場合や性被害(DV含む)の場合は、必ずしもパートナーの同意は必要なく、原則としてご本人の同意書のみで手術は可能です。尚、当院の場合、18歳未満の未婚の方(性被害を除く)は、保護者の承諾が必要な場合があります旨、ご了承下さい。
今回は、当院における人工妊娠中絶の2つ方法について情報を共有致します。
妊娠9週0日までの方:人工妊娠中絶内服薬が可能
内服薬(メフィーゴパック)による人工妊娠中絶が全国的に広まっていますが、いくつか条件があります。
二種類の薬剤を服用することになりますが、妊娠9週0日(超音波検査で決定される妊娠週数)までに1錠目(妊娠継続を止める薬剤)を服用しなければなりません。
その後、36~48時間後に2錠目(妊娠組織を排出させる薬剤)を服用して頂きますが、当院では安全管理の観点から、2錠目を服用する日は日曜・祝日を避けて頂いております。
メフィーゴパックの利点としては、麻酔を使用せず、子宮内処置を行わないため、身体の負担が比較的軽いことが挙げられます。
一方、デメリットとしては、胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)が娩出された後も、出血が長引く事が多い点です。
尚、当院では、メフィーゴパック2錠目投与後、8時間経過しても胎嚢が娩出される兆しがなければ、手術療法へ切り替えます。
妊娠11週6日までの方:手術療法(子宮内容除去術)
もちろん、妊娠9週0日までの方であっても、手術療法をご希望される場合は、妊娠11週6日までであれば、子宮内容を除去する手術療法が可能です。
当院では、できるだけ子宮内膜に負担をかけないよう、妊娠10週頃までであれば、やわらかいプラスチック製の細いチューブを子宮内に挿入し、手動で陰圧をかけながら子宮内錠を除去する方法(MVA法)を取り入れています。
一方、妊娠10週から11週台の方の場合は、妊娠組織が多くなっているため、当院では金属の管を子宮内に挿入し、電動の吸引器を使用します(EVA)。
それでも子宮内膜へのダメージはあまり多くありません。
術中の麻酔法は、局所麻酔(術中は意識があるが、比較的早めに退院)あるいは全身麻酔(静脈麻酔を使用し、意識がない状況で手術を行いますが、退院までの約3時間は病室で安静)を中心に行っています。
実際に行う麻酔法については、それぞれのメリット・デメリットを説明した後、入院時に患者さんと相談して決定します。
現在の人工妊娠中絶法は、体への悪影響は比較的少なくなっているとは言え、避妊・緊急避妊について知っていることは大切です。
妊娠を希望しないのであれば、あらかじめ女性は低用量ピルを服用し、男性は性交時にコンドームを適切に使用することが必要です。
また、低用量ピル(経口避妊薬や、月経困難症治療の低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)を服用しておらず、適切にコンドームを使用しなかった場合は、緊急避妊目的で婦人科を受診しましょう。。