院長コラム
ミニピル「スリンダ錠28」の院内処方を始めました
先日、経口避妊剤であります「スリンダ錠28」が発売され、当院でも令和7年7月から院内処方薬として取り扱いを開始致しました。
従来の低用量ピル(OC・LEP)はエストロゲンと黄体ホルモンの配合薬ですが、スリンダ錠は黄体ホルモンのみの薬剤であり、“ミニピル”とも呼ばれています。
今回は、従来の低用量ピルと比較しながら、スリンダ錠について情報共有致します。
避妊の作用は従来型と同じ
ミニピルの避妊の作用は、従来の低用量ピルを同様、以下の3つがあります。
一つ目は排卵を抑制する作用で、仮に精子がやってきたとしても、卵子と受精させないようにします。
二つ目は、子宮頸管の粘液の粘り気を高める作用で、精子が膣内から子宮内に進入するのを防ぎます。
三つ目は、子宮内膜を薄くさせる作用で、たとえ受精卵が子宮内腔にやってきたとしても、子宮内膜へ着床しないようにします。
これらに作用により、実薬を飲み忘れしなければ、ほぼ100%近い確率で避妊効果を発揮します。
スリンダ錠は“血栓症リスク”のある方でも服用可能
従来の低用量ピルに含まれているエストロゲン成分は、血栓症のリスクを高めるため、血栓症の既往の方、喫煙者、前兆のある片頭痛持ちの方、40歳以上の方、肥満の方など、低用量ピルが禁忌の方、あるいは使用に際して注意が必要な方々は少なくありません。
一方、スリンダ錠は黄体ホルモン製剤であり、エストロゲン成分が含まれていないため、血栓症リスクのある方でも服用可能です。
ただし、従来の低用量ピルに比べて、不正出血をきたしやすいとの報告もあるようですので、その点はご留意下さい。
適応は「避妊目的」のみで、自費診療
従来の低用量ピルには、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)という月経困難症の治療薬で、保険適応となっている薬剤があります。
スリンダ錠も、内膜組織の増殖を押さえ、排卵も抑制することから、結果的に月経困難症や月経前症候群を改善させる可能性はあります。
ただし、あくまでも避妊目的の薬剤であり、保険診療では使用できず、診察含めて全て自費診療になることはご了解下さい。
また、スリンダ錠も「乳がんや生殖器がんの方やその疑いのある方」「診断が確定していない異常性器出血のある方」「重篤な腎障害・肝障害の方」など、服用できない方がいらっしゃる旨、ご了承下さい。
当院では初診時に診察と薬剤の説明を行い、ご納得頂いた方へ再診時に1シートお渡し致します〔問診料:1,200円、処方料:1,100円、スリンダ錠1シート2,500円(税込)〕。
これまでは、血栓症のリスクがあるがために、低用量ピルの服用ができなかった方も多いと思います。
そのような方々には、この新しい選択肢を前向きにご検討頂ければ幸いです。