院長コラム

デリケートゾーンのトラブル対策

今年は梅雨が長引き、蒸す日が多いこともあってか、外陰部のムレや痒みなどが気になる方も増えてきました。ある調査では、20~40代女性の3人に一人はデリケートゾーンに悩みを抱えているとのことです。
今回は、デリケートゾーンのトラブルに対する診療の流れや治療・予防について説明します。

 

 

(1) デリケートゾーンの診療  ~思春期まで~

性交未経験の方には、原則とて内診は行ないません、腟入口部から大陰唇までの発赤や皮疹などの皮膚所見を確認し、細い綿棒のような培養検査キットを用いて腟内あるいは腟入口部の帯下を採取します。
外陰腟カンジダ症と診断された場合、またはカンジダ症が疑わしい場合には、抗真菌外用剤(フロリードクリームなど)を処方します。接触などによるかぶれの可能性が高い時は、ミディアムタイプのステロイド外用剤(ロコイド軟膏など)を用います。

 

 

(2) デリケートゾーンの診療  ~性成熟期~

視診や腟培養検査により原因を確認し、適切な外用剤や腟錠を使用します。外陰腟カンジダ症の場合、抗真菌外用剤に加えて、抗真菌腟錠(イソコナゾール腟錠2錠など)を挿入します。魚が腐ったような臭いの帯下の場合はガードネレラ菌による感染の可能性があるため、フラジール腟錠を挿入します。性感染症であるクラミジアや淋菌が認められた場合は、それぞれジスロマック錠250mg1回4錠の内服、ロセフィン1g点滴投与を行ないます。

また、妊娠すると免疫力が低下するため、外陰膣炎にかかる方は少なくありません。疾患により抗真菌外用剤・ステロイド外用剤、フラジール腟錠、あるいはジスロマック錠などを用いますが、これらの薬剤は胎児への影響はほとんどないため、妊婦さんに対しても安心して使用できます。

 

 

(3) デリケートゾーンの診療  ~更年期以降~

更年期以降は、女性ホルモンも減少や加齢による変化のため、腟内および外陰部の乾燥感、掻痒感、疼痛、灼熱感など、様々な外陰部症状を認める方が増加します。ホルモン補充療法(HRT)の全身投与または腟錠挿入が奏効することが多いですが、あまり改善しない方もいらっしゃいます。また、HRTが禁忌の方や抵抗感がある方がいらっしゃいます。そのような方には、外陰腟レーザー治療(モナリザタッチ)をお勧めしています。

特に、小陰唇が萎縮し、尿や陰毛が腟内に入り込んでしまい、それが異臭や掻痒感などの原因になっている場合は、レーザー治療によって小陰唇をふくよかにさせることで、尿や陰毛が腟内へ入らないようにすることも期待できます。ちなみに、当院でのモナリザタッチ施術料は1回目80,000円、2回目70,000円、3回目60,000円(+消費税)であり、通常1ヵ月おきに合計3回施術しております。

 

 

「コラージュフルフル泡石鹸」について

当院ではデリケートゾーンのにおいやムレ、かゆみへの対策として、「コラージュフルフル泡石鹸」をお勧めしています。この石けんは、抗菌成分と抗真菌(カンジダ)成分が配合されており、細菌やカンジダの増殖の抑制が期待できます。

また、低刺激性、弱酸性のため、敏感肌の方はもちろん、免疫力が低下している妊婦さんや悪露が気になる褥婦さんにも適しています。また、赤ちゃんのおむつかぶれ予防やにきび予防など、肌がデリケートな赤ちゃんにも使用できます。

 

 

デリケートゾーンのトラブルを防止するためには、ナプキンやパッドをこまめに取替え、通気性がいい下着を選び、デリケートゾーンを正しく洗って清潔に保つことが大切です。
そして、規則正しい生活、良質な睡眠、バランスのとれた食事に心掛け、体調を崩さないようにしましょう。
もし、何か気になる症状がみられましたら、早めに受診して下さい。