院長コラム

お勧めの避妊法

意図しない妊娠、望まない妊娠を避けるには、より効果が高い避妊法を実践することが必要不可欠です。
今回は、「産婦人科の実際2021年1月号」(金原出版)を参考に、様々な避妊法の特徴をお伝えします。

 

低用量ピル(OC・LEP)

OC・LEPはエストロゲンと黄体ホルモンの合剤で、排卵の抑制・内膜を薄くすることによる受精卵の着床阻止・精子の子宮内への侵入阻止など、様々な作用により非常に高い避妊効果を発揮します。
OC・LEPは同じ種類の製剤であり、避妊目的のみの場合は自費診療(OC)となりますが、月経困難症治療目的であれば保険適応(LEP)となります。
ただし、飲み忘れなどにより避妊効果が不十分となるため、毎日欠かさず同じ時間に服用する必要があります。
また、重篤な副作用として血栓症があり、特に服用開始3か月は注意が必要です。
OC・LEPは初経が見られれば10代から服用が可能であり、特に思春期から30代の避妊法としてお勧めします。
尚、40歳以上、肥満、高血圧、片頭痛、喫煙など、慎重な服用が必要な方や、服薬禁忌の方がいらっしゃる旨、ご承知下さい。

 

子宮内避妊具(IUDとIUS)

避妊を目的とした子宮内避妊具に、銅付加子宮内避妊具(IUD)があります。子宮内に留置することで受精卵の着床を阻止するほか、銅イオンの影響で精子の運動性や受精能力を低下させることができます。
一度挿入すると5年間有効ですが、不正出血をきたすことも少なくありません。尚、自費診療であり施設によって費用が異なる旨、ご承知下さい。
避妊効果は非常に高く、出産後など、出産経験者の避妊法として有用と思われます。
一方、IUSは「黄体ホルモン放出子宮内システム」といい、IUDと同様子宮内に留置する器具ですが、銅イオンではなく高濃度の黄体ホルモンを子宮内膜に対して持続的に放出する仕組になっています。
黄体ホルモンは子宮内膜組織の増殖を抑制する働きがあるため、過多月経・月経困難症の治療として保険適応となっています。やはり、一度挿入したら5年間有効ですが、不正出血などの副作用が長引くこともあります。
やはり避妊効果は非常に高く、過多月経・月経困難症の治療をご希望の方の避妊法として、大変お勧めです。

 

他の避妊法は有効性が低いものが多く、注意が必要です。
ただし、男性用コンドームは、性感染症の予防効果がある程度期待できるため、妊娠を希望しない性交には必需品です。
もし、ホルモン剤の副作用などにより、どうしても上記の方法での避妊ができない場合は、基礎体温をしばらくつけて頂き、明らかな高温期の後半(月経前)の数日のみを“安全日”とみなす「リズム法」をご検討下さい。