院長コラム
過多月経に対する処置・治療
定義の上では正常の月経量は一回の月経周期で20~140mlと言われており、それを超える場合は過多月経とされます。
具体的には、「レバー状の血液の塊がみられる・2時間以内にナプキンの交換が必要・日中7セット以上の生理用品または夜用ナプキンが必要」などを参考に、過多月経を診断します。
今回は、過多月経に対する当院での処置・治療について情報共有致します。
出血・鉄欠乏性貧血がみられる場合
多量出血が進行している場合には、輸血や高度な止血処置が必要なケースもあるため、高次施設に救急搬送します。
そこまで緊急性がみられない場合には、止血剤(トラネキサム酸)の点滴投与や内服で出血の減少を試みます。
また、血液検査で貧血(ヘモグロビン値:12g/dl未満)がみられた場合は鉄剤の内服(リオナ錠など)や、場合により点滴静注(モノヴァー静注)にて治療します。
子宮内膜ポリープ、子宮筋腫、子宮腺筋症がみられた場合
子宮内膜ポリープがみられた場合、それが過多月経の原因の一つである可能性があるため、月経終了後の時期に切除術を行う場合があります。
子宮筋腫(特に子宮内膜を圧迫する粘膜下筋腫)がみられた場合、偽閉経療法(レルミナ錠内服)で子宮筋腫を小さくし、月経を抑制することで過多月経を治療します。ただし、長期にレルミナ錠服用を継続すると骨粗しょう症などのリスクが高まるため、6か月までの使用が求められており、その後は状況に応じて手術目的で高次施設への紹介、あるいはIUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)挿入を検討します。
子宮腺筋症(子宮筋層内に子宮内膜症組織が存在し、子宮壁が分厚くなる病気)の場合も、偽閉経療法を行う事で子宮全体を小さくし、その後黄体ホルモン療法(ディナゲスト錠)に切り替えて月経を抑えていくことがあります。
月経困難症がみられる場合
子宮筋腫や子宮腺筋症がみられなくても、過多月経を認める場合があります。その場合、子宮内膜が厚いことが多く、内膜で産生される痛み物質の影響で月経困難症がみられる場合も少なくありません。
そのような際は、低用量ピルやIUSを用いて子宮内膜を薄くすることで、経血量の減少・月経痛の軽減がともに期待できます。
過多月経は生活の質を下げるだけでなく、鉄欠乏性貧血になってしまうと心身に大きなダメージを与えます。
また、子宮筋腫や子宮腺筋症といった病気が隠れている場合があります。
経血量を他人と比べる事はあまりないと思いますが、月経時にレバー状の塊が出るのであれば、過多月経の可能性があるため、是非婦人科クリニックをお訪ね下さい。