院長コラム
睡眠の質を上げるための運動習慣
現代の日本人は諸外国の方と比べて、平均睡眠時間が短いと言われています。
当院の外来でも、更年期女性や妊産婦さんの中には、不眠に悩まれている方も少なくありません。
今回は、「よぼう医学(2025年春号)~睡眠学入門~」を参考に、睡眠に良い影響を与える運動について情報共有したいと思います。
睡眠に有効な運動の種類
ウォーキングやエアロビクス、ジョギングといった有酸素運動は、寝つきをよくして深い眠りを増やすのに有効のようです。
一方、スクワットやダンベル運動といった筋力トレーニングは、体の疲労を促すことで睡眠の質を改善させるそうです。
これらの運動を就寝の2~4時間前に行うと、深部体温が一時的に上昇しますが、その後の体温低下がスムースな入眠を促すそうです。
ただし、寝る前に激しい運動をすると、交感神経を刺激して活動的になってしまい、かえって目が覚めて、寝つきを悪くしてしまう事がありますので注意が必要です。
そこで、就寝前はヨガやストレッチなどを行うようにしましょう。心身をリラックスさせる事が、スムースな入眠に繋がります。
運動の時間や頻度
運動は1日60分程度、週に3∼5回程度、定期的に行うことで睡眠効果が得られるとのことです。
ただし、お仕事や体調などによって、規則的な運動ができない方も少なくないと思います。そのような方は、買い物・掃除などの家事、犬の散歩や通勤・通学・階段の上り下りなど生活活動を意識して行うといいでしょう。
尚、妊婦さんの場合、妊娠経過に問題がなければ、マタニティビクス、マタニティヨガなどを生活の中に取り入れるものお勧めです。
中高年女性の場合、女性ホルモンの低下に伴う更年期障害が不眠の原因の可能性があり、ホルモン補充療法で睡眠の質が向上
ることもあります。
また、妊産婦さんや産後のお母さんの場合、不眠が重篤なメンタルの不調に直結することがあるため、積極的に睡眠剤を使用した方がいい場合もあります。
もちろん、薬物療法が必要な方にとっても、適切な運動は非常に有用ですので、睡眠の質を上げたい方は是非ご自身の運動習慣を見直してみましょう。