院長コラム

月経周期に伴う心と体の変化

思春期に初経を迎えてから、更年期に閉経を迎えるまで、妊娠・授乳期などを除き、多くの女性は月経とともに生活することになります。
月経周期は「月経期」「卵胞期」「排卵期」そして「黄体期」の4つの時期に分ける事ができます。
今回は、桃の節句にちなみ、月経周期に伴う心と体の変化について、簡単に説明します。

「月経期」は月経困難症に悩む方も
正常の月経の期間は3~7日間と言われており、子宮内膜が剥がれて血液とともに外に排出される時期です。
月経血を排出するためには、子宮の筋肉を収縮させる必要があるため、痛み(月経痛)を伴うことがあります。さらに、子宮内膜症や子宮腺筋症といった婦人科の病気を持っていると、月経痛が激しくなります。
また、下腹部痛、腰痛といった痛み以外にも、気分の落ち込みといった精神症状をきたしやすい時期でもあります。

「卵胞期」は心身共に元気な時期
月経期が終わり、排卵するまでの間を卵胞期と言います。
月経周期7日目頃から、卵巣にある卵胞(卵子が入っている袋)が1~数個、徐々に大きくなっていきます。その卵胞から分泌されるホルモンを卵胞ホルモンまたはエストロゲンと呼びます。
このエストロゲンの分泌が増加している卵胞期が、月経周期の中で一番心身の調子がいい時期です。

排卵期に出血や下腹部痛を認める事も
卵胞の大きさが2㎝程度にまでなると、今度は排卵させるようにホルモン環境が変化します。
その際、エストロゲン分泌が一旦急降下し、それに伴って少量の出血や頭痛を認める事があります。
また、排卵の刺激などにより下腹部痛を認める場合もあります。
尚、排卵直前の頸管粘液は、精子を子宮内に受け入れやすくするため“ツルーん”とした状態ですが、排卵後は余計な精子や細菌が子宮内に入らないよう“ベタっ”とした状態になるなど、帯下の様子も変わります。

黄体期は月経前症候群(PMS)に悩む事に
排卵後の卵胞は黄体という組織に変わり、その黄体から分泌されるホルモンを黄体ホルモンと言います。実はエストロゲンの分泌も黄体期に再度上昇しますが、黄体期は黄体ホルモンの働きがメインになる時期です。
その影響で、基礎体温の上昇、むくみ、腸管の運動低下による腹部膨満・便秘、乳房痛などをきたすことがあります。
その後、妊娠が成立せずにエストロゲン・黄体ホルモンの分泌が減少すると、イライラ・抑うつ・不安感といった精神症状を中心としたPMSに悩むことがあります。

月経周期の中で、最も心身の調子が安定しているのは、卵胞期の7日間程度しかありません。
ただし、月経期、排卵期、黄体期も、生活習慣の改善や適切な薬物・サプリメントの使用により、苦痛が軽減する可能性があります。
特に、仕事、学業そして日常生活に支障をきたしているのであれば、早めに婦人科を受診し、相談しましょう。