院長コラム

月経前症候群(PMS)の様々な症状

月経開始の3~10日前から現れ、月経が始まると次第に経過する心身の不調をPMSといい、生活の質を下げてしまう事も少なくありません。
PMSの原因は不明な点も多いですが、排卵後に黄体という卵巣の組織から分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)の増減が要因の一つと考えられています。
今回は、PMSの症状の可能性がある身体的症状・精神的症状・行動変化について、情報提供したいと思います。

〇主な身体症状
プロゲステロンには乳腺の組織を刺激する作用があるため、排卵後にプロゲステロンが増加すると、乳房の張りや痛みがみられる事があります。あまりに痛みが強い時には、鎮痛剤が必要になる場合もあります。
また、プロゲステロンには胃腸の動きを弱くさせる作用もあり、腹部の膨満感、嘔気、便秘などの消化器症状を認める方もいらっしゃいます。腹部膨満感が強い方には、腸の動きを向上させる漢方薬を処方することがあります。
さらに、プロゲステロンが持つ“水分を蓄える作用”により、手足のむくみ、体重増加をきたすことがあります。治療としてむくみを軽快させる漢方薬を使用することもありますが、塩分の多い食事でむくみが悪化するため、日頃より塩分控えめの食事を心がけましょう。

〇主な精神症状
ある報告によると、PMSを認める方の6割以上に、いらいら・怒りっぽくなる、といった“外向きの症状”がみられるとのことです。
また、不安感、憂うつなどの“内向きの症状”もPMSを認める方の約半数にみられ、情緒不安定など様々な精神症状が混在することも多いようです。
さらに、疲労感、眠気などがみられる方も多く、このような精神症状に対しては、漢方薬や向精神薬が有効な場合も少なくありません。

〇主な行動の変化
排卵後、食欲が増進し、特にスイーツなど高カロリーな食べ物が欲しくなる方も多いようです。これは、妊娠に備えて栄養・カロリーをため込もうとする、プロゲステロンの作用によるものと考えられています。
また、集中力の低下、意欲減退、引きこもりなどがみられる事もあり、学業、仕事、育児、介護などに、直接悪影響を及ぼす可能性もあります。

排卵後の女性ホルモンの変動や心身のストレスなど、様々な要因が混在してPMSをきたしていると考えられています。
生活に支障をきたす程の症状であれば、我慢せず、積極的に治療する必要があります。
良質な睡眠・バランスのとれた食事・適切な運動といった生活習慣を改善しながら、婦人科クリニック、あるいは精神症状が強い場合にはメンタルクリニックを受診するようにしましょう。