院長コラム

月経前症候群を悪化させないためには?

月経前症候群(PMS)とは、月経が始まる3~10日ほど前からみられる、様々な精神症状・身体症状を言います。月経が始まると、むしろ症状は経過することが特徴です。
多くの女性が経験していますが、仕事や学業、育児や家事など、日常生活に影響をきたす方も少なくありません。
今回は、当院でお勧めしている「PMSを悪化させない工夫」について情報共有したいと思います。

食生活を見直す
一見、PMSと食生活とはあまり関係していないように思われがちですが、必要な栄養素、特にビタミンやミネラルの摂取不足がPMS症状の悪化に繋がると考えられています。
PMS症状が強い方は、そうでない方と比べて、カルシウム、鉄、マグネシウム、ビタミンB群、ビタミンDなどの血中濃度が低いことが指摘されています。
無理なダイエットやジャンキーな食生活を避け、緑黄色野菜・魚介類・肉類・豆類・海藻・きのこ類・乳製品・果物など、バランスのとれた健康的な食生活を継続することが重要です。

日光を浴びながらの運動習慣
むくみもPMS悪化に繋がるため、食生活改善だけでなく、運動を生活に取り入れて血行を良好にすることも大切です。
また、現代女性に不足しがちなビタミンDは、体内の80~90%は皮膚で合成されることが知られており、その際必要なのが日光(紫外線)です。
できれば過度なUVカットをせずに、朝、日光を浴びながらのお散歩やジョギングなど、無理ない範囲で運動を継続されることをお勧めします。
もちろん、ジムなど室内で行う運動もいいのですが、ビタミンDの観点でいえば、夏は朝夕15分ずつ、冬は昼間60分程度の日光浴(顔面・手の甲をUVカットしないで露出)を組み合わせるのがいいでしょう。

必要十分で良質な睡眠
過度な心身ストレスが自律神経のバランスを乱し、PMSの悪化に繋がることも知られています。
ストレス解消法は人によって様々ですが、全員に当てはまるのは良質な睡眠ではないでしょうか。
皆さんお忙しいとは思いますが、できるだけ規則正しく、しっかりと睡眠時間を確保することを最優先に日常生活を組み立てるようにしましょう。
ちなみに、朝日を浴びながらお散歩などすると、セロトニンという“幸せ脳内物質”の分泌が増加しますが、そのセロトニンは夜になると、メラトニンという睡眠に欠かせない脳内物質に変わることが知られています。

食事・運動・睡眠といった生活習慣の改善は、PMSに限らず、全ての健康維持・増進の基本になります。
精神力や気持ちの持ちようだけで、PMSを改善させる事は困難です。
90%以上の方が経験しているともいわれるPMS。生活習慣を改善しても症状が軽快しない方は、お一人で悩まずに、是非婦人科を受診しご相談下さい。