院長コラム

更年期障害のホットフラッシュはいつまで続く?

エストロゲン(卵巣から分泌される女性ホルモン)の低下に伴い、閉経前からのぼせ、ほてりといったホットフラッシュがみられる事があります。
閉経後数年経過すると自然に軽快することが多いですが、中には60歳を超えてもホットフラッシュに悩まれている方もいらっしゃいます。
今回は「女性更年期 外来診療マニュアルTDCメソッド」(日本医事新報社)を参考に、更年期障害のホットフラッシュがみられる時期について情報共有したいと思います。

閉経前からホットフラッシュはみられる
我が国では、閉経前5年間と閉経後5年間と合わせた10年間を「更年期」と定義しています。
閉経の平均年齢が約50歳、多くの方は45~55歳で閉経を迎えるため、更年期の年齢は40~60歳前後と考えられます。
卵巣機能が低下し始め、エストロゲン分泌が不安定になると月経不順となり、のぼせ、ほてり、発汗などの更年期症状(ホットフラッシュ)がみられ始めます。
ある調査では、閉経の2年前のホットフラッシュ発現率は約15%、1年前には約35%に上昇すると報告されています。

閉経1年後が発現率ピーク
閉経時のホットフラッシュの発現率も約35%と報告されていますが、閉経1年後は約55%にまで増加します。
その後しだいに発現率は減少するものの、数年間は約45%で推移し、閉経時を下回るのは閉経後5~6年経過してからのようです。
更に、閉経2年前の発現率にまで戻るには、閉経後8~10年以上かかると報告されています。

閉経後10年経過しても
更年期初期にみられ始める「エストロゲンの減少」という“変化”が、ホットフラッシュの発生に関係しているといわれています。
ただし、加齢により血中エストロゲン濃度が“低値安定”したからといって、すぐにホットフラッシュから解放されるとは限りません。
閉経後12~13年経過しても発現率は10%と報告されており、60~65歳女性の6.5%が中等度以上のホットフラッシュを訴えている、との話もあります。

更年期障害、特にホットフラッシュに対する治療としてホルモン補充療法(HRT)はとても有効です。
以前は、「更年期障害は数年程度で改善するため、ホットフラッシュ治療目的であれば、HRTは3年程度でいい」と言われたこともありましたが、HRT中止後にホットフラッシュが再発する女性も少なくありません。
当院では、HRTの効果を評価し、副作用に注意しつつ、ご本人とも相談しながら、「いつまでHRTを継続すべきか?」検討して参ります。