院長コラム
更年期女性の不眠への対応
更年期の女性は、更年期症状と思われるほてりや不安などにより、睡眠障害がみられる事があります
不眠により日常生活に支障をきたす場合には、治療を検討した方がいいでしょう。
今回は「女性更年期 外来診療マニュアル TDCメソッド」(日本医事新報社)を参考に、当院での対応に触れながら、更年期女性の不眠への対応について情報共有したいと思います。
不眠に対する薬物療法
更年期症状のホットフラッシュなどが原因の不眠の場合、ホルモン補充療法(HRT)で不眠が軽快することがあります。特に、子宮体がん発生予防に用いられる黄体ホルモン製剤の内、「エフメノカプセル」は良質の睡眠に繋がる事が知られています。
また、精神症状が強い更年期女性に対しては、加味逍遙散、抑肝散。加味逍遙散など使用することがあります。
不眠により生活の質の低下が著しい時には、超短時間作用型のマイスリー錠を使用することが多く、中途覚醒をきたす方にはベルソムラ錠を使用することもあります。
睡眠衛生指導
良質な睡眠を確保するためには、生活の改善に心掛けることも大切です。
定期的な運動や規則正しい食生活を心掛け、快適な就寝環境(遮光カーテンや快適な温度など)と整える事が大切です。
さらに、就寝前の水分の摂り過ぎに注意し、就前4時間はカフェインの入ったものは避け、寝酒も飲まないようにしましょう。
更年期障害として不眠(入眠障害や中途覚醒など)を訴える方は6割にのぼるとの調査もあります。
そのような方に対しHRT、漢方薬、睡眠薬を適切に用いることで、不眠を軽減させることも期待できます。
不眠で辛い思いをされている更年期女性の方は我慢せずに、まずは婦人科でご相談されることをお勧めします。