院長コラム
日本産婦人科医会性教育指導セミナー全国大会に参加して
先日、奈良市で開催されました性教育指導セミナーに参加してきました。
性教育に携わっている医療従事者や教育関係者など、多くの方々が全国から集まり、非常に学びの多い講演会でした。
今回は、特に印象に残ったテーマについて、私見を交えながらお話致します。
「性欲」を伝えるために大切なこと
とある先生が「性欲」についてお話されていました。
「性欲とは性的な欲求の事だが、実は二種類ある。一つは“性的に相手と共生したい(共に生きたい)”という欲求であり、これはとても大切である。もう一つは、“性的に相手を支配したい”という暴力的な欲求であり、避けなければならない。」
性欲自体はとても大切で自然なことですので、性欲自体を単に抑制することは不健全といえます。特に、思春期男子の性欲は強いため、暴走させずにコントロールさせることが必要です。
そのためには、“共生欲求”に根差した性欲を大切にしつつ、“支配欲求”からくる性欲を否定する事が重要です。
今後、私が行う性教育授業では、この点を中高生の皆さんにしっかり伝えていきたいと考えています。
自分の体に感謝すること
私がこれまで行ってきました性教育授業では、はじめに「自分を大切にしましょう」「他者を尊重しましょう」「正しい知識を学びましょう」の三つを掲げてきました。
今回のセミナーで「包括的性教育」についてご講演された先生から、“自らの体に感謝する”=“自らの体を正しく理解し、価値を認める”ことの大切さについてお話を伺いました。
自分の体を正しく理解するためには、正しい知識を学ぶことが不可欠であり、このことが自分の価値を認め、他者を尊重することにも繋がるのでは、と思われました。
そして、“自分への感謝”自体が性教育の出発点なのでは、と感じました。
セミナーでは、高校生、大学生の若者たちから、現在の性教育の問題点や改善点について、様々な意見を直接伺うこともできました。
また、若者を取り巻くSNSの恐ろしさについて、お話を伺うことができました
今後、性教育授業を行うにあたり、正しい知識を生徒の皆さんの心に響くように伝えていけるよう、取り組んで参ります。