院長コラム
妊娠糖尿病妊婦さんの分娩後の管理
妊娠糖尿病の既往のある女性は、その後の妊娠でも妊娠糖尿病を発症しやすいことが知られています。
たとえ次回妊娠することがなかったとしても、2型糖尿病になるリスクは高く、ある報告では妊娠糖尿病の約10%の方が、産後平均5年で糖尿病に進展したとのことです。
今回は、妊娠糖尿病妊婦さんが分娩された後に、当院で行っている対応についてお伝え致します。
分娩後6~12週の75g糖負荷試験
妊娠糖尿病であった方は、分娩後6~12時間に糖尿病検査(空腹時・検査用サイダー服用後1時間後・2時間後の血糖)を行い、その後の管理方法を検討しなければなりません。
ただし、里帰り先などで妊娠糖尿病と診断され、分娩された方の中には、1か月健診の後に里帰り先から戻られてしまい、分娩施設で糖尿病検査を受けられない方もいらっしゃると思います。
当院では、こちらで妊婦健診を行ったことがある方だけでなく、初診の方でも、分娩後6~12週の75g糖負荷試験を行っております。
その際、もし可能でしたら情報提供書をお持ち下さい。
検査結果①:正常型・肥満でない方
健康診断(職場健診・主婦健診・自治体の特定健診など)や人間ドックで糖尿病検査を定期的に行って頂きます。
もし、糖尿病が疑われるようでしたら、早めに専門医を受診しましょう。
結果②:糖尿病型の方・正常型だが肥満の方で、妊娠希望がない方
早めに糖尿病専門医へ紹介させて頂きます。
当院の近隣では、「オリーヴァ内科クリニック」「とも内科クリニック」「あきら内科」などをご案内することが多いですが、お住まい近くの専門施設へも紹介致します。
検査結果③:糖尿病型の方・正常型だか肥満の方で、妊娠希望のある方
次回の妊娠に向けて厳重な管理が必要になるため、当院では主に「国立成育医療研究センター 女性内科」に紹介しております。
尚、次回の妊娠・分娩管理は「国立成育医療研究センター 産科」あるいは総合病院などの高次施設をお勧めします。
妊娠糖尿病の女性は授乳期間が長い方が、短い場合より糖尿病発症率が低いことが知られているため、母乳哺育をお勧めします。
また、肥満・2型糖尿病の家族歴・多嚢胞卵巣症候群の方も糖尿病の発症リスクになるため、体重管理は重要です。
妊娠糖尿病既往の方は、生活習慣を見直し、日頃からバランスのとれた食生活・適切な運動習慣を心掛けましょう。