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院長コラム

妊娠希望がある方の子宮筋腫の取り扱い

妊娠の高齢化に伴い、子宮筋腫を合併している妊婦さんは増加しています。
子宮筋腫の大きさ、数、発生場所によっては、妊娠中、分娩時、分娩後に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
今回は、「産婦人科診療ガイドライン」の婦人科外来編(2020年)および産科編(2020年)を参考に、妊娠希望がある方の子宮筋腫の取り扱いについて説明します。

 

子宮筋腫により頻度が増加する妊娠関連の合併症

妊娠中にみられる合併症としては、流産・切迫早産・早産・前期破水・前置胎盤・常位胎盤層域剥離・胎児発育不全などが知られています。
分娩時には、胎位異常・陣痛異常・分娩停止などのリスクが高まり、帝王切開率が3.7倍増えるとの報告もあります。
さらに、分娩後も異常出血、腹痛、悪露排出障害といったリスクが上昇します。
そして、これらの合併症は、子宮筋腫径が5cm以上の場合に増加することが知られています。
また、子宮筋腫の大きさの変化に関しては様々言われていますが、増大の多くは妊娠14週までに生じる、との報告があります。

 

妊娠前に筋腫核出術を検討すべきケース

  • 子宮腔の変形が不妊の原因と考えられる場合
    不妊外来を受診されている方で、不妊スクリーニング検査により子宮筋腫以外に不妊の原因因子がない場合、担当の不妊専門医から筋腫核出術のお話があるかもしれません。

  • 筋腫の長径が5~6cmを越えている場合
    無症状であっても筋腫の大きさが5cm以上の場合、妊娠中の合併症リスクが増加するため、筋腫核出術を検討した方がいいかもしれません。
    また、5cm以内の筋腫で症状がない場合は、経過観察となることが多いですが、筋腫の数が多い場合は、筋腫核出術を検討することもあります。

  • 前回妊娠、分娩時に筋腫による異常があった場合
    妊娠や分娩の経験がある方で、以前に妊娠中、分娩時、分娩後の子宮筋腫による異常があった場合、再び繰り返される可能性があるため、次回の妊娠前に筋腫核出術を勧められるケースがあります。尚、術後の避妊期間は3~6か月としている場合が多いようです。

 

実は、妊娠希望がある方の子宮筋腫の取り扱いには、正解はありません。
筋腫核出術を行った場合、術後に妊娠した際、分娩様式は帝王切開となる可能性は高くなります。
また、術後の子宮筋腫再発率は15~30%ともいわれています。
筋腫核出術を行った場合と行わなかった場合のメリットとリスクを検討し、子宮筋腫の取り扱いについて、主治医の先生方とよく相談されることをお勧めします。

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