院長コラム
妊娠を希望しないのなら緊急避妊から経口避妊薬(ピル)へ
女性が経口避妊薬(ピル)を服用せず、男性が適切にコンドームを装着しないで性交した場合は、常に妊娠する可能性があります。
どうしても妊娠を避けたいのであれば、性交後72時間以内に「レボノルゲストレル錠1.5mg」を服用する必要があります。
今回は、緊急避妊についての情報と当院での対応についてお伝えします。
緊急避妊薬の効果
「ハッピーライフのために女性が知っておきたい30のこと 7.知っておきたい緊急避妊のこと」(北村邦夫日本家族計画協会理事長)によると、性交後72時間以内に「レボノルゲストレル錠1.5mg」を服用した場合の妊娠阻止率は90%以上といわれています。
ただし、服用時期はできるだけ早いほうが望ましく、性交から24時間以内での服用の妊娠率は0.4%とかなり低いですが、性交後25~48時間での服用では1.2%、性交後49~72時間の服用になると2.7%へと上昇してしまいます。
緊急避妊薬服用後の注意点
「レボノルゲストレル錠1.5mg」を服用すると排卵が後ろにずれるため、精子と卵子の受精が妨げられます。しかし、「レボノルゲストレル錠1.5mg」の服用後、月経が見られる前に性交をしてしまいますと、ちょうど排卵期にぶつかってしまい、再び妊娠する可能性がでてきます。妊娠を回避するためには、次の月経がくるまで性交しない、あるいはピルの服用を開始し、さらに開始7日間はコンドームを併用することが推奨されています。
緊急避妊からピルへの流れ
当院では緊急避妊目的でいらした方に対し、外来での診察時に「レボノルゲストレル錠1.5mg」を服用して頂きます。また、ピルが禁忌でないことを確認した上で、翌日から低用量ピル「ラベルフィーユ(3週間実薬+1週間偽薬)」を服用開始して頂きます。
服用して4週間後、偽薬服用中に出血があるか、血栓症などのピルの副作用がないかを確認します。妊娠が否定されて、ピルの副作用がなければ、妊娠を希望されるまでピルの服用継続をお勧めしています
緊急避妊はあくまでも緊急避難的な対応であり、避妊の基本は継続的なピルの服用です。
ただし、ピルでは性感染症を予防できないため、コンドームの装着は必要です。
妊娠を希望していないカップルは、「女性がピルを飲まず、男性がコンドームを付けないセックスはありえない」とお考え下さい。