院長コラム
女性ホルモン製剤使用の落とし穴
思春期から中高年期に至るまで、女性ホルモン製剤を使用することで健康になり、生活の質が向上する女性は大勢いらっしゃいます。
ただし、その服用上の注意を守らないと、健康を損ねてしまう事も少なくありません。
今回は、女性ホルモン製剤服用の際に注意すべき“落とし穴”についてお話します。
緊急避妊薬服用しても妊娠の可能性が
避妊をしない性交、あるいは避妊に失敗した性交後72時間以内に緊急避妊薬(レボノルゲストレル錠・ノルレボ錠)を服用すると、高確率で妊娠を避ける事ができます。
子宮内膜を薄くさせて、受精卵の着床を防ぐ作用もあるようですが、メインの作用は排卵を数日遅らせる事であり、受精能力のある精子と卵子とが出会わないようにする事で避妊効果を発揮します。
そのため、すでに性交の直前(特に24時間以内)に排卵してしまっていた場合や、性交から服薬までの時間が経ち過ぎてしまい排卵抑制効果が不十分であった場合など、妊娠してしまう可能性があります。
緊急避妊薬服用して3~4週間経過しても月経様の出血がなければ、妊娠している可能性があるため、必ず産婦人科クリニックを受診するようにしましょう。
子宮を有している方のホルモン補充療法は黄体ホルモン製剤も一緒に
更年期障害や閉経後骨粗しょう症の治療として、エストロゲン製剤によるホルモン補充療法(HRT)がよく用いられます。
ただし、子宮がある方にエストロゲン製剤のみを長期使用した場合、子宮内膜が厚くなり、子宮内膜増殖症という病気や、場合によっては子宮体がんになるリスクが高くなります。
そのため、子宮内膜組織の増殖を抑える黄体ホルモン製剤を併用することで、子宮体がんを予防するようにしましょう。
尚、女性ホルモン剤を産婦人科以外の医師から処方してもらっている方は、出血などの症状があった場合はもちろん、出血などの症状がなかったとしても、定期的に婦人科を受診し、診察して頂く事が大切です。
女性ホルモン製剤の使用にあたっては、年齢・体格・合併症・喫煙の有無など、多くの背景を考える必要があります。
ネットでの薬剤購入は、薬剤の品質が保証されておらず、副作用への対応もできないため、必ず医療機関や薬局で説明を聞いた上で購入しましょう。
尚、女性ホルモン製剤は、婦人科を標榜している医療施設を受診して、処方してもらう事をお勧めします。