院長コラム
女性の健康的な生活を妨げる婦人科疾患
4月10日は「女性の日」、そしてこの日を起点とした1週間は「女性週間」と制定されています。
女性週間の期間中は、女性の地位向上を目的とした活動が各地で盛んに行われると思います。
今回は、産婦人科医の立場から、女性の生活の質に影響を及ぼすことが多い「月経困難症」「月経前症候群」「更年期障害」について、ポイントを情報共有致します。
月経困難症を我慢しないで!
月経中の様々な心身のトラブルを月経困難症といい、子宮筋の過剰な収縮が原因と言われているものを「機能性月経困難症」といい、子宮内膜症などの婦人科疾患が原因であるものを「機能性月経困難症」と言います。
以前は“生理痛は病気でないから我慢しなさい”といわれていましたが、月経痛が強いと学業や仕事、家事や育児、趣味や人間関係をはじめ、あらゆる生活の質が低下します。
特に、子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫が存在している場合は、月経期以外の下腹部痛・腰痛・性交痛、重症貧血、不妊症、妊娠合併症、卵巣がんなど、多くの健康被害に繋がることも少なくありません。
月経期の様々なつらい症状がみられましたら、思春期女性であっても決して我慢せず、早めに産婦人科を受診しましょう。
月経前症候群(PMS)がみられたら手帳に記録を!
月経前3~10日前から始まり、月経が始まると次第に症状が軽快・消失する多彩な心身の症状を月経前症候群(PMS)と言います。
PMSの原因はわかっていないことも多いのですが、排卵後に分泌される黄体ホルモンや、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモンの月経前の急激な減少などが関与していると言われています。
PMSかも知れないと思われた方は、2か月程手帳に気になる様々な症状(例えばイライラ、気分の落ち込み、怒りっぽい、乳房痛、頭痛、腹部膨満感、便秘など)や月経期間・不正出血日などを記録されることをお勧めします。
これらを記録することによって、月経周期と各症状との関連性をご自身で把握することができますし、記録を持って産婦人科(精神症状が強い場合はメンタルクリニック)を受診して頂くと、医療者側も治療方針が立てやすくなります。
更年期症状で生活に支障が出れば治療を!
閉経前後5年間、合計10年間を更年期と言い、およそ40~60歳頃がその時期に当たります。
更年期の時期にみられる「ほてり・発汗」「不眠」「いらいら・不安・抑うつ」「動悸」「肩こり・腰痛・関節痛」といった様々な心身の症状のうち、明らかな原因と思われる病気がみられないものを更年期症状といいます。
多くの中高年女性にみられる更年期症状のうち、日常生活に支障をきたすものは更年期障害といい、ホルモン剤・漢方薬・向精神薬・自律神経調整薬などの治療が必要になります。
これら3疾患はつい我慢しがちですが、女性の健康維持・向上を妨げる重要な疾患です。
症状が気になり始めたら、早めに婦人科を受診し、精査・治療をしてもらいましょう。
同時に、食生活の乱れ、運動不足、不規則な生活が各症状を悪化させている可能性があるため、これを機に生活習慣を見直すこともお勧めします。