院長コラム

女性にとって男性ホルモンは必要ないの?

男性ホルモンはコレステロールから合成されるホルモンで、男性性器の発達や男性らしい体型には欠かせないため、当然男性に多く存在しています。
実は女性も少ないながら存在しており(成人女性は男性の約1/20)、卵巣や副腎で男性ホルモンは分泌されています。
今回、女性にとっての男性ホルモンの意味について、「エストロゲンと女性のヘルスケア」「みえる!わかる!女性内分泌」などの書籍を参考に情報共有したいと思います。

思春期前から男性ホルモンが分泌
実は、思春期前の8歳頃から、副腎での男性ホルモン分泌が増加するそうです。
男性ホルモンは体毛にも関与していますが、この時期は陰毛の発育に関係しているとのことです。
そして、男性ホルモンの一部は女性ホルモンであるエストロゲンに姿を変えて、乳房の発達を促すことになります。

エストロゲンは男性ホルモンから作られる
思春期以降、卵巣で多量にエストロゲンが合成されますが、このエストロゲンは男性ホルモンが基になっています。つまり、エストロゲンが存在しているということは、同時に男性ホルモンも存在している事になります。
しかも男性ホルモンは、卵子を入れている袋であり、エストロゲンを分泌している卵胞の発育にも関与している、と言われています。
さらに、女性の性行動を刺激するといった働きもあるため、女性の生殖に男性ホルモンは欠かせないと考えられます。

女性にとっても欠かせない男性ホルモンですが、月経不順の方にホルモン検査を行うと、男性ホルモンの一種であるテストステロンが高値を示すことがあります。
そのよう場合、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)といった卵巣の病気が隠れている場合が少なくありません。

PCOSは排卵障害など不妊症の原因になることがありますので、月経の頻度が少ない方や多毛が気になる方は、一度テストステロンなどのホルモン検査をされてみてはいかがでしょうか。