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院長コラム
女子中高生の月経トラブル ~学校関係者の方々向け~
あるアンケート調査によると、「月経が勉強や運動へ影響を及ぼす」と答えた女子中高生は、全体の約80%に上ったそうです。
今回は、「日本子宮内膜症啓発会議」が中学校・高校の教員向けに発行しているパンフレットを参考に、女子中高生の月経トラブルについて情報共有したいと思います。
月経トラブルによる自覚症状
以下の様子が見られた生徒は、月経トラブルに悩んでいる可能性があります。
・学校を欠席、または遅刻・早退が多くなった。
・トイレや保健室に行く回数が増えた。
・朝礼などで具合が悪くなった。
・体育や部活の見学が多くなった。
・授業中寝てばかりいる。
・顔色が悪い。
・集中力や元気がない。
・イライラしている。
代表的な3つの月経トラブル
思春期女性が関わる月経トラブルのうち、代表的な3つについて説明します。
・月経困難症
月経直前または月経開始から認める下腹部痛、腰痛、嘔気、下痢、イライラなどの症状を月経困難症といい、日常生活に支障をきたす場合は治療の対象になります。
思春期女性では、月経困難症の原因と思われる明らかな病気がみられない事が多いのですが、最近では10代でも「子宮内膜症」という重大な病気が隠れている場合があります。
・過多月経、過長月経
1-2時間でナプキンを交換しないといけない程の経血量の場合は、過多月経の可能性があります。
また、月経期間が8日間以上の場合は過長月経と呼ばれます(正常は3~7日間)。
これらは鉄欠乏性貧血の原因となり、悪化すると動悸、めまい、頭痛、疲労感などの症状が現れ、鉄剤などの薬物治療が必要になります。
・月経前症候群(PMS)
月経開始3~10日前ごろから始まる心と体の不調です。
イライラ、怒りっぽい、抑うつ、乳房痛、頭痛、便秘など症状は多彩で、学校生活に支障をきたすことも少なくありません。
月経トラブルのため「学校の成績が落ちた」「部活の試合で負けてしまった」「修学旅行で恥ずかしい思いをした」など、多くの女子中高生が辛い経験をしています。
学校関係者だからこそ気が付く、女子生徒の異変も多いと思います。
その場合は、是非近隣の産婦人科医に繋げて頂きますよう、宜しくお願い致します。