院長コラム
低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)服用中の出血対応
月経困難症の治療薬として、女性ホルモン製剤であるLEPが広く使用されています。
ただし、治療効果が高い反面、副作用の不正出血に悩まされる方も少なくありません。
不正出血を完璧に抑える方法は残念ながらありませんが、比較的有効な対策をいくつか紹介したいと思います。
実薬服用中の月経様出血
代表的なLEPであるヤーズフレックス配合錠の場合、服薬を開始して24日間は出血があったとしても継続する必要がありますが、服薬開始25日以降に月経様出血が3日間以上継続した場合は「実薬を4日間休薬」し、リセットすることが推奨されています。
当院では、少量の出血であっても2週間以上継続し、生活に支障をきたす場合には、“4日間休薬法”を試してもらっています。その結果、多くの方が3か月に一回程度のリセットのみで、LEPの服用を長期間継続して頂いております。
連続投与から周期的投与へ
ヤーズフレックス配合錠は120日連続で服用可能ですが、毎月不正出血がみられる方には、一時的にヤーズ配合錠やドロエチ配合錠による周期的投与に切り替えることがあります。
周期的投与法とは、24日間実薬を服用し、その後4日間プラセボ(偽薬)を服用して頂き、月に一回あえて子宮出血を起こさせる方法です。
3~6か月間周期的投与を行い、実薬中の不正出血が見られなくなれば、再びヤーズフレックス配合錠による持続投与へ戻すことがあります。
また、ジェミーナ配合錠の場合、当院では「実薬77日服用後、7日間休薬するパターン」を第一選択としています。ただし、77日間で不正出血が長引く方の場合、「実薬21日服用後、7日間休薬するパターン」へ3か月ほど変更し、実薬服薬時の出血が見られなければ、再び「実薬77日・休薬7日間」へ戻すことがあります。
止血剤の併用
出血が多い場合は、止血剤であるアドナ錠とトランサミン錠を使用することがあります。
また、少量ながらも長期間出血が持続する場合や、断続的にみられる場合は、止血効果のある漢方薬を併用することが有効な場合があります。
その際、痔出血に保険適応のあるキュウキキョウガイトウを使用することもありますが、保険の関係で処方しづらいため、当院では主に黄連解毒湯(カプセル製剤あり)、温清飲などを処方しています。
その他、超低用量ピルの服用で出血が多ければ、低用量ピルに切り替えることもあります。
また、下痢気味、便秘気味の方の場合は、ビオスリー錠などの整腸剤を処方し、腸内環境を整えてホルモン製剤の吸収を安定させることが、出血を抑えるのに有効なこともあります。
出血が気になる方は、かかりつけ医へご相談して頂くのと同時に、飲み忘れをしていないか、あるいは服用時間が不規則になっていないか、お気を付け下さい。