院長コラム

令和6年度玉川法人会「女性健康セミナー(第二弾)」開催報告

先日、当院が所属する玉川法人会の会員の方々や、事業所の職員の皆様を対象に、女性健康セミナーを行いました。
昨年の第一弾のテーマは「月経困難症」でしたが、今年度は第二弾として「月経前症候群(PMS)」について、飲食をしながらお話させて頂きました。
今回、セミナーの内容について簡単にご紹介致します。

多くの就業女性がPMSに悩んでいる
ある報告によると、2020年度のPMSによる労働損失額は約6億9,000万円に上り、月経困難症による損失額である約6億1,700万円を上回ります。そのため、国としてもPMS対策に本格的に取り組む必要が出てきました。
また、他の調査では、「女性の健康課題により職場で困った経験」がある方は女性従業員の半数以上にのぼり、その要因としてPMSと答えた方が4割を超えていたそうです。
仕事への具体的な支障として、「集中力の低下」「仕事がいやになる」「人間関係のトラブル」「ミスや誤った判断が増える」などがみられたとのことです。

PMSの原因や悪化要因
PMSの原因については、判明していないことも多いのですが、「排卵後の黄体ホルモンの影響」「月経前の女性ホルモンの急激な減少」「幸せホルモンと呼ばれるセロトニン(脳内物質)の減少」「精神的・身体的ストレス」など、様々な要因が混在してPMSをきたしているとも考えられています。
更に、PMSの悪化要因として、むくみ、ビタミン・ミネラル(ビタミンB群、ビタミンD、鉄、カルシウムなど)の不足、ストレス過多などが指摘されています。

PMSの薬物療法およびサプリメント
PMSの治療として確立されているものはありませんが、排卵を抑制することで黄体ホルモンを分泌させない低用量ピル(月経困難症の治療薬として保険適応)といったホルモン剤を用いる事が主流になっております。
また、漢方薬(加味逍遙散・抑肝散など)や抗うつ薬(SSRI:セロトニン産生を増やす作用)を処方することも少なくありません。
最近では、サプリメント「トコエル」を月経前の7日間服用する対応策もあり、PMSの予防・治療の選択肢が増えてきました。
体質や症状に合わせて、これらを組み合わせる事が大切と思われます。

セミナーでは、ビタミン・ミネラルを十分に摂取するために「バランスのいい食生活」、血行を改善してむくみを軽減するために「適切な運動」、ストレスを解消するために「良質な睡眠」といった生活習慣の改善が、PMS対策の基本になる旨、お伝えしました。
それでも症状の改善がみられない場合は、お気軽に婦人科を受診して頂くよう、お話しました。
今回は、ご参加の方のほとんどが女性でしたが、今後は男性、特に経営者に向けたセミナーも開催できれば、考えております。