院長コラム

人工妊娠中絶薬「メフィーゴパック」服用後の症状

妊娠9週0日までの子宮内妊娠の方に使用される「メフィーゴパック」は、比較的安全な人工妊娠中絶薬として知られるようになってきました。
当院でも、メフィーゴパックによる重大な合併症は現在までのところ発生しておりません。
ただし、胎嚢(胎児を入れる袋)が排出し、ご退院後に様々な症状がみられる事があります。
今回は、胎嚢排出前後にみられる「子宮出血」と「下腹部痛」について、ラインファーマ株式会社の使用ガイドを参考に、情報共有を致します。

「子宮出血」は胎嚢排出の前4時間と後8時間が“多め”
メフィーゴパック2錠目服用後、4時間以内に子宮出血が始まるケースが多いようです。
メーカーの調査によると、胎嚢排出4~8時間の出血量は少なく、胎嚢排出前0~4時間の出血量が最も多くなるとのことです。反対に言えば、出血量が増えてきたら、そろそろ胎嚢が排出される可能性が高いと考えられます。
胎嚢排出後、多くの施設で帰宅が許可されると思います。ただし、胎嚢排出後、8時間までは比較的出血が多く、その後次第に減少していきます。
ちなみに、子宮出血の持続時間は約6日から100日であり、中央値は約3週間とのことです。
尚、「夜用の生理用ナプキンを1時間に2回以上交換するような出血が、2時間以上続く場合」は「出血量が非常に多い」と考え、処方医療機関へ連絡することが勧められています。

「下腹部痛」は胎嚢排出の前3時間から強くなり、排出後もしばらく持続
メーカーの調査によると、メフィーゴパック2錠目服用後、しばらくして下腹部痛がみられ、胎嚢排出1~2時間から強くなり、胎嚢排出0~1時間で最も強くなったそうです。
胎嚢排出後、強い下腹部痛は軽快しますが、中等度の鈍痛が最低6時間は継続するとのことです。
ただし、一般的に用いられる消炎鎮痛剤でコントロールが可能であったようですので、ご心配はないと思いますが、鎮痛剤服用でも強い痛みが続くようなら、主治医に連絡するのがいいでしょう。

当院では、メフィーゴパック2錠目服用時に、鎮痛剤「カロナール錠」を1錠全例に服用頂き、ご退院の際、ご希望の方に「ロキソニン錠」などを処方しています。
また、胎嚢排出後、全員の方に経腟超音波検査を施行し、子宮内貯留が中等量ありそうな場合、子宮収縮剤「パルタンM錠」を数日処方しています。

尚、胎嚢排出1週間後の診察にて、子宮出血や子宮内貯留が多い場合は、止血剤投与や子宮内容除去術を行うことがある旨、ご了承下さい。