院長コラム

メンタルヘルスに注意すべき“3つの時期”

女性は思春期から閉経期にかけて、女性ホルモンと共に生活しており、その変動は心身に大きく影響を及ぼします。特に、女性ホルモンの急激な低下は、様々なトラブルの要因になることが知られています。
今回はメンタルヘルスに注目して、女性のライスステージで注意すべき3つの時期についてお話します。

月経前
月経前3~10日前からみられる様々な身体的・精神的症状を月経前症候群(PMS)と言い、食生活・運動習慣・ストレスなどの影響がいわれていますが、その原因は未だにはっきりわかっていません。
ただ、排卵した後の黄体という組織から分泌される黄体ホルモンや、卵胞ホルモン(エストロゲン)の量が減少することが、PMSの要因の一つと言われています。
精神的症状としては、いらいら・易怒性・気分の落ち込み・不安感などがみられる方が多く、生活、仕事、学業などに悪影響を及ぼすことも少なくありません。
薬物療法としては、不安神経症や抑うつに有効な漢方薬、抗うつ薬、排卵を抑制する低用量ピルなどを使用することがあります。

分娩後
お産後も、軽い症状のマタニティブルーズから、重い症状の産後うつに至るまで、様々なメンタルトラブルをきたすことが知られています。
分娩後の体の変化、育児の疲労や不安、母乳トラブルなど様々な要因がありますが、中でも女性ホルモンの急激な減少の影響大きいでしょう。
妊娠中は、胎盤からエストロゲン・黄体ホルモンが大量に分泌されるため、赤ちゃんが生まれた後に胎盤が子宮内から娩出されると、母体の女性ホルモン量は一気に減少します。
産後のメンタル症状に対しては、漢方薬・向精神薬・抗不安薬などを使用することがあり、多くの薬剤は授乳中の方でも安心して服用できます。

更年期
閉経前後10年間(45~55歳前後)を更年期といい、エストロゲンが減少する時期です。
その時期に現れる、ほてり・発汗といった自律神経症状や抑うつ・不安といった精神症状、肩こり・腰痛といった身体症状、外陰部乾燥感・灼熱感といった生殖器症状などを更年期症状といい、生活に支障をきたすようなレベルになった状態を更年期障害と言います。
閉経後は、低下したエストロゲンを補うホルモン補充療法が主流ですが、閉経前からの精神症状には漢方薬・抗うつ薬・エクオール(大豆イソフラボンのサプリ)・プラセンタ注射などを組み合わせて治療することがあります。

女性の場合、上記のような“3大時期”を上手にくぐり抜ける事が、生活の質の向上に結び付きます。
そのためには、生活習慣の改善や薬物療法も重要ですが、いかにご家族や周囲の方々にサポートしてもらえるか、がとても大切です。
当院では、ご本人の治療はもちろん、ご主人やお母様へ状況を説明致しますので、ご希望がございましたらご家族の方もご一緒にいらして下さい。