院長コラム

ホルモン補充療法すると太るの?

更年期障害や閉経後骨粗しょう症の治療の主流として、ホルモン補充療法(HRT)が広く行われています。
その一方で、「HRTをしてから体重が増えた」との声を時々聞く事があります。
今回は、「女性更年期外来診療マニュアル TDCメソッド」(日本医事新報社)を参考に、その疑問にお答えします。

結論:HRTが理由で体重が増加する事はありません
HRTと体重の関連を検討した研究は数多くありますが、HRTにより太るといった報告はあまりないようです。
むしろ、内臓脂肪が増える中心性肥満に対して、HRTは予防的に作用するという報告があります。
皮下脂肪が増えるとの報告もあるようですが、脂肪の分布が変わるだけとも言われています。

HRTに関係なく、周閉経期は太りやすい
閉経前後の女性は、急激に体脂肪が増え、筋肉量が急減することが知られています。
HRT使用者と非使用者の体重変化を比較した研究によると、両群とも体重は増えてはいますが、増加率に差は見られなかったそうです。
その理由として、この年代の女性の身体は代謝が低下するため、体重が増加しやすくなっているからではないか、と考えられています。

HRTにより体調が改善し、食欲が増える可能性はあるかも
エストロゲンの低下によりホットフラッシュ、抑うつ、不眠といった心身の症状が強いと、食欲が減ってしまう事があります。
HRTを行うことによって、更年期症状が改善し体調がよくなると、食欲が増して、結果的に体重が増えてしまう事はあるかも知れません。
HRTを行った後、実際に体重が増加した方の中には、このような背景があるのではないでしょうか。
であれば、適度な体重増加はむしろ望ましい反応ともいえます。

HRTには多くのメリットがあるため、「体重が増加するかもしれない」とHRTを敬遠することは、非常にもったいないことです。
もちろん、HRTに関わらず過度に太ってしまう事は避けなければいけません。
したがって、心身の健康管理維持・増進の観点からも、適切な食生活と運動習慣を身に付ける事が、更年期女性こそ求められるといえます。