院長コラム
ジエノゲスト内服中の出血への対策
月経困難症治療薬である「ジエノゲスト錠0.5mg」、子宮内膜症や子宮腺筋症に用いる「ディナゲスト錠1.0mg」といった黄体ホルモン製剤は血栓症のリスクがないため、年齢や体格を問わず、比較的使用しやすい薬剤です。
ただし、ジエノゲストは不正出血をきたすことが少なくないため、長期にわたり使用することが難しい方もいらっしゃいます。
そこで今回は、「研修ノート No.116」(日本産婦人科医会 令和8年3月)を参考に、ジエノゲスト内服中の出血対策について情報共有したいと思います。
主な出血の原因
ジエノゲストの副作用で最も多いのが少量の不正出血であり、治療開始してしばらくの間、ほとんどの方にみられます。
原因としては、薄くなっている子宮内膜を黄体ホルモン成分が継続的に刺激することで、内膜組織が剥がれ落ちてしまうことが考えられます。ただし、服用を続けていくうちに、多くの場合、出血はおさまっていきます。
また、これらの薬剤は一日2回の服用が必要ですが、飲み忘れや不規則な服用でも血中の黄体ホルモン濃度が変動し、子宮内膜が剥がれて出血することが少なくありません。できるだけ毎日決まった時間に、忘れずに服用されることをお勧めします。
注意を要する出血の原因
数か月間しっかりと服用している方でも、コンドームを適切に使用せずに性交した場合は、まず妊娠に伴う出血を否定することが大切です。特にジエノゲスト錠0.5mgの場合は、排卵の抑制作用が経口避妊薬(低用量ピル)よりも弱いため、注意が必要です。
子宮出血で最も気を付けるべき病気は子宮体がん・子宮内膜異型増殖症(前がん病変)です。子宮体がん検査を定期的に行っている方は多くありませんので、当院では保険診療として、あるいは世田谷区子宮がん検診(子宮頚部と共に)として、子宮内膜細胞診を行っています。
その他、エコー検査で子宮筋腫(特に粘膜下筋腫)、子宮内膜ポリープの有無を確認致します。
出血が持続する場合の対応
正しく服用しているにも関わらず少量~中等量の出血が持続する場合には、当院では止血剤(アドナ錠・トランサミン錠)を4~7日間程度処方致します。
それでも出血が持続する場合は、ジエノゲストを4~7日間、あえて休薬します。そのことにより、不安定な内膜組織は月経血のように剥離・排出されますので、子宮内膜をリセット状態にした後、ジエノゲスト内服を再開します。
また、内膜ポリープがみられるときは内膜ポリープ切除術(子宮内膜全面掻爬とともに)、子宮筋腫がみられるときは偽閉経療法(レルミナ錠:4~6か月)を行う事があります。
当院では上記の対策に加えて、温清飲(ウンセイイン)など止血効果をもつ漢方薬を併用することもあります。
また、多量な出血がみられる場合には、ジエノゲスト内服を中止して、近隣の高次施設に紹介する場合もあります。
ジエノゲストは大変有用な薬剤ですので、できるだけ服用を継続していくために、生活に支障をきたすような出血を抑えるよう対応して参ります。