院長コラム

クラミジア感染症は早期発見・早期治療がポイント

クラミジア感染症とは、クラミジアの病原体が性行為によって感染してしまう病気で、男女とも性感染症の中で最も多いことが知られています。
しかし、感染初期は自覚症状を認めないことがほとんどで、感染に気付かずパートナーにうつしてしまう事も少なくありません。
今回は、案外怖くて厄介なクラミジア感染症について情報共有したいと思います。

女性の自覚症状は?
教科書的には、病原体に感染してから症状がみられるまでの潜伏期間は1~2週間程度と言われていますが、90%の方は自覚症状がみられないとも言われており、正確な感染時期を特定することは困難です。
女性の自覚症状では、帯下の増量、下腹部痛、性交時出血などが多いため、これらの症状がみられた場合は、早めに婦人科を受診されることをお勧めします。
また、妊婦さんがクラミジア頸管炎になっていた場合、感染に気付かずに治療しないまま経腟分娩してしまうと、赤ちゃんが肺炎や結膜炎といった重篤な病気になる危険性があります。

クラミジア感染症の検査方法
血液検査でクラミジアの抗体を調べる方法もありますが、今の時点で感染しているのかどうかを確認するためには、子宮頸管部の帯下を綿棒などで拭って検査する方法が一般的です。
当院では、感染しているかどうかを正確に調べるためにはPCR検査(結果判定に約1週間)、治癒判定などには抗原検査(15分程度で結果判定)を行っています。
ちなみに、当院では、妊婦さん全員に妊娠16週頃にクラミジアPCRを行っています。
また、帯下増量の方や、パートナーがクラミジア感染症の場合は、クラミジア感染症と合併しやすい淋菌感染症のPCR検査も行うこともあります。

クラミジア感染症の治療
当院における治療の第一選択は、抗生剤「ジスロマック錠250㎎」を4錠(1,000㎎)の一回服用としています。
服用から3週間以上経過して、クラミジアPCR検査または抗原検査を行って治癒判定をしますが、もし陽性となった場合は、他の抗生剤を1週間服用して頂きます。

もし、クラミジア感染症と診断された場合は、早めにパートナーに連絡し、男性の場合は泌尿器科または性感染症科を受診するようにお伝え下さい。
そして、お互い治癒するまでは、「ピンポン感染」を防ぐため、性行為を行わないようにしましょう。
女性がクラミジア感染症を放置すると、激しい腹痛や不妊症の原因になることがあるため、「性交後の帯下の違和感」がみられたら、早めに婦人科を受診しましょう。