院長コラム
いずれ妊娠をしたい方が、今から実践したい事“6選”
将来妊娠を考えている女性であれば、身体的に妊娠が可能になった時点で、安全な妊娠・分娩、そして健康な赤ちゃんのために、様々な事を準備をする必要があります。
これを“妊娠前のヘルスケア”“プレコンセプションケア”といい、現在世界的に重要視されている考え方です。
今回、「プレコンセプションケア」(メジカルビュー社)を参考に、「今から実践したい事“6選”」を情報共有したいと思います。
葉酸を積極的に摂取しよう
葉酸はビタミンB群の一種で、葉酸不足の妊婦さんは、赤ちゃんの二分脊椎などのリスクが高くなることが知られています。
葉酸はほうれん草、ブロッコリー、枝豆、海苔などに多く含まれていますが、食事のみで必要量を摂取することは困難であり、遅くとも妊娠の1か月前からはサプリメントを適切量を服用することが勧められています。
当院では、葉酸だけでなくマルチビタミン、ミネラルを含むサプリメント「エレビット」を推奨しており、妊娠を考えた時点で服用することが望ましいと考えています。
風疹抗体を確認しよう
妊娠20週頃までに妊婦さんが風疹に感染してしまうと、赤ちゃんに様々な異常(心疾患、難聴、白内障など)をきたすことがあります。
幼少の頃に風疹ワクチンを接種したことがあっても、抗体価が低い(抵抗力が弱い)と再感染を起こす可能性があります。
世田谷区では妊娠希望の方(該当者に限る)に対して風疹抗体検査が無料で受けられ、抗体価が低い場合は風疹(または麻疹・風疹)ワクチン接種費用の助成制度がありますので、是非ご利用下さい。
適切な体重を維持しよう
母体が」過度なやせは、不妊、低出生体重児などのリスクが高まり、生まれた赤ちゃんが将来生活習慣病になりやすくなることが知られています。
また、過度な肥満の場合は、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などの合併症妊娠が増加し、巨大児による分娩トラブル、赤ちゃんの将来的な生活習慣病のリスクも高まります。
そのため、適切な運動やカロリー摂取により、妊娠するまでに体格指標(BMI:体重㎏÷身長m÷身長m)を18.5以上、25.0未満に体重をコントロールするようにしましょう。
禁煙と禁酒は基本です
喫煙は男女ともに不妊の原因になり、妊婦さんが喫煙すると低出生体重児など胎児へ悪影響を及ぼすため、喫煙者はすぐに禁煙しましょう。
また、妊娠初期に習慣的に飲酒していれば赤ちゃんの奇形のリスクが高まり、妊娠後期まで飲酒していれば赤ちゃんの精神発達に異常をきたす可能性があります。
妊娠を考えるのであれば、禁煙・禁酒に心掛けましょう。
持病のある方は、妊活前に主治医に相談しましょう
内科的、精神的持病のある方は、現在の病状で妊娠してもいいのか、今服用している薬剤は妊娠していても服用可能かなど、妊活前にかかりつけの先生にご相談下さい。
特に抗てんかん薬、甲状腺機能亢進症治療薬、高血圧薬、抗生剤などの中には、妊娠後に他剤へ変更する必要があるものがあります。
また、妊娠確認後、患者さんご本人の判断で服用薬の減量あるいは中止をしてしまい、原疾患が悪化する可能性もあります。
自己判断は大変危険ですので、妊娠した時の対応について、予め主治医の先生と打ち合わせ頂く事をお勧めします。
歯科検診を受けましょう
歯周病は、早産、低出生体重児などの合併症リスクになることが知られています。また、母親の歯の健康は、子供の虫歯に関与しているとのことです。
定期的に歯科検診を受けていない方は、せめて妊娠前に歯科的に異常がないか調べてもらいましょう。
以上挙げた6項目は、将来実際に妊娠する・しないに関わらず、妊娠の可能性がある全員の方に心掛けて頂きたい内容です。
また、現在持病がない方も、内科的・産婦人科的・歯科的な検診を受けることで、何か病気が見つかるかも知れませんので、妊活前の健康診断をお勧めします。
そして、マルチビタミン・サプリメントやバランスのとれた食事、適切な運動、禁煙といった事は、今すぐにできる事ですので、是非積極的に取り組むようにしましょう。