院長コラム
「月経前障害(PMD)」の様々なパターン
月経前の様々な身体的・精神的な症状を月経前症候群(PMS)といい、PMSの中で特に精神症状が主体で強いものは「月経前不快気分障害(PMDD)」と呼ばれています
これらの病名、特にPMSは、比較的多くの女性に知られるようになってきましたが、最近海外では、PMS・PMDDをはじめ月経前の様々の症状を総称して「月経前障害(PMD)」という概念が広まっているそうです。
今回、「産科と婦人科 2024年8月号」を参考に、PMDの様々なパターンについて情報共有したいと思います。
コアPMD:PMSとPMDD
PMSとPMDDは「コアPMD」に分類され、PMDの代表的な病態です。
コアPMD症状の特徴として、「排卵周期により生じる」「月経後から排卵前に症状はない」「黄体期(排卵~次回月経まで)に繰り返す」「生活に著しい支障を引き起こす」などが挙げられています。
PMSになる割合は約20∼30%という報告があり、排卵を抑制する低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP:女性ホルモン剤)や漢方薬、抗うつ薬(SSRI:選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を治療薬として用いる事があります。
一方、PMDDになる割合は1~6%という報告もあり、産婦人科よりも精神科・メンタルクリニックで診察を受けることが多いようです。
当院では、PMSに対して上記のような薬物治療を行った上で、精神症状の改善がみられない場合は、PMDDを疑い、メンタルクリニックへ紹介する事もあります。
バリアントPMD:月経前増悪(PME)
PMDの亜流として、「他の症状が月経前に悪化してしまう病態」PMEが挙げられます。
特に、うつ病などの気分症の場合、精神科的治療のみでは月経前の症状が改善されず、女性ホルモンの変動を抑える事を目的に、婦人科クリニックへ紹介されるケースもあります。
月経前に症状が悪化してしまう基礎疾患には、精神疾患だけでなく、気管支喘息や片頭痛といったものもあります。
これらの症状が日頃からみられ、月経前になると悪化する場合には、まずかかりつけ医と相談し、必要であれば婦人科クリニックに紹介して頂きましょう。
PMS・PMDDの原因は未だに不明ですが、「月経前の様々な症状」に悩まされ、学業・仕事・日常生活に支障が出るような事があれば、まずは婦人科クリニックを受診されることをお勧めします。