院長コラム

緊急避妊薬の服用に当たっての注意

妊娠を希望しない時に性交する場合、男性がコンドームを使用することが原則です。
その上で、低用量ピルを忘れずに服用していれば、ほぼ確実に妊娠を避ける事ができます。
ただし、現実には低用量ピルを服用しないで、コンドームを装着しない、または不適切な使用法で性交してしまう事もあります。
今回は、避妊が失敗、または避妊をしないで性交してしまった場合の緊急避妊薬の使用について、情報共有したいと思います。

緊急避妊薬の特徴
現在わが国で用いられている緊急避妊薬は2種類(先発品・後発品)あり、それぞれ値段は異なりますが、どちらも「レボノルゲストレル」という黄体ホルモンの内服薬です。
主な作用は、排卵を5~7日遅らせることであるため、排卵前に服用した場合はとても有用です。
その他、子宮頸管(子宮の入り口)の粘液を変化させて、精子が子宮内に入りにくくする作用や、受精卵が着床しづらくするように子宮内膜を変化させる作用もあるため、排卵後の使用でも服用可能ですが、避妊効果は落ちてしまいます。

緊急避妊薬の用法・用量
性交後72時間以内に1.5㎎を1回服用しますが、性交後早期に服用すればするほど避妊効果が上がります。
そのため、性交からの日数を可能な限りあけずに、緊急避妊薬を取り扱っているクリニックや薬局に行くようにしましょう。
また、緊急避妊薬服用後に性交してしまうと、ピッタリ排卵期に当たってしまう可能性があるため、次の月経が来るまでは性交自体持たない事をお勧めします。

緊急避妊薬服用の注意点
緊急避妊薬の避妊効果は約85%であるため、あくまでも緊急避難的な薬剤です。計画的に妊娠を避けるためには経口避妊薬を継続的に服用する必要があります。
当院では原則として、緊急避妊薬服用の翌日から低用量ピルを服用して頂いています。
もし、緊急避妊薬の服用後、3~4週間経過しても月経が来なければ、妊娠している可能性があるため産婦人科を受診して下さい。

パートナーがコンドームを装着していても、途中で破れたり、膣内にコンドームが脱落してしまう事があります。
避妊目的の経口避妊薬(OC)や月経困難症治療の低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)を服用していない方、黄体ホルモン放出子宮内システム(IUS)を使用していない方が性交するのであれば、せめて緊急避妊について事前に知っておくようにしましょう。
“ご自身の身はご自身で守る”意識がとても大切です。