院長コラム

性感染症を予防するために

性感染症の中には、日常生活に支障をきたすもの、不妊の原因になるもの、胎児や新生児に感染するものなど、様々な疾患があります。
そのような性感染を100%予防する方法は、あらゆる性的な接触を行わない事ですが、生殖を目的とする性交すら否定する事は現実的ではありません。
今回は、性感染症に感染するリスクを少しでも減らす方法について、情報共有します。

特定のパートナーとのみ性的接触する
性的パートナーの数が増えるほど、性感染症のリスクは増加することが知られています。
性行為を行うなら、その時にお付き合いしているパートナーとのみに限定すべきでしょう。
尚、パートナーが新しく変わるタイミングで、お互いが性感染症検査を受けることも推奨されています。

コンドームを適切に使用する
男性がコンドームを使用したからと言って、全ての性感染症を予防することができませんが、最も簡便であり、安価で、有効な予防方法です。
適切な使用であれば避妊効果も高いため、生殖を目的としない全ての性交時の必需品です。
ちなみに、膣内だけでなく、口腔内や肛門へのペニス挿入の際にも、「最初から最後まで」適切にコンドームを装着することが、性感染症予防には大切です。

HPVワクチン(4価または9価)の接種
HPVワクチン接種が子宮頚がん予防に有効であることは周知されてきましたが、尖圭コンジローマの予防にもなることは、あまり知られていないかもしれません。
「ガーダシル(4価ワクチン)」「シルガード9(9価ワクチン)」は、発がん性の高いHPVのタイプ以外に、尖圭コンジローマの原因となる2つのHPVタイプにも予防効果を発揮します。
女性の膣内尖圭コンジローマは、出産の際に赤ちゃんに感染する危険性があるため、できれば男女とも性交経験前に、定期接種(小学校6年生~高校1年生相当)としてHPVワクチンを接種されることをお勧めします。

性感染症は厄介で、危険な病気ですが、ある程度予防することが可能です。
人生の質を向上させるためにも、性感染症予防法を知り、実践することが大切です。
もし、無防備な性行動をとってしまった場合には、次のステップとして、定期的に性感染症検査を受けて、早期発見・早期治療を心掛けましょう。