院長コラム
妊娠の仕組みのポイント
妊娠には多くの過程がありますが、いくつかのポイントにまとめる事ができます。
これらのポイントを知ることは、妊娠を希望される方はもちろん、避妊したい方にとってもお役に立つと思われます。
今回は、「排卵」「射精」「受精」「着床」の4つのポイントに絞って、説明したいと思います。
排卵が必要不可欠
妊娠の主役は“卵子”と“精子”です。
排卵とは、主役の一つである卵子が卵巣から弾け飛ぶ現象を言います。
月経周期が28日型の場合、通常月経開始から約2週間目に排卵し、卵子は卵管に取り込まれて、精子がやって来るのを待ちます。
排卵された卵子の寿命は、約24時間と言われており、排卵日の翌日くらいまでが、妊娠の可能性があると考えられます。
ちなみに、低用量ピルが持つ様々な作用の中で、避妊にとって最も大切な作用が「排卵抑制作用」と言えます。
射精も大切
もう一方の主役である精子は、性交により膣内に射精され、様々な試練を潜り抜け、子宮頸管から子宮内腔、そして卵管へと泳いでいきます。
精子の寿命は3日間前後とも言われており、その間に卵子と出会うと妊娠の可能性が高まります。
ちなみに、コンドームは精子を膣内に入れないようにする避妊具です。低用量ピルにも、子宮頚管粘液の粘り気を高めることで、精子が子宮内腔に進入するのを妨ぐ作用があります。
受精は卵子と精子との「奇跡の出会い」
射精された数億匹の精子の中から、選ばれし一つの精子だけが、一つの卵子と出会って融合し、一つの受精卵となります。
この現象を受精と言い、卵管の膨大部というところで行われます。
受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、約6日間かけて子宮内膜へ向かっていきます。
着床することで妊娠がスタート
排卵した後、卵巣の黄体という組織から黄体ホルモンが分泌されます。精子と卵子が旅をしている間、黄体ホルモンの作用で子宮内膜が妊娠に適した状態、つまり受精卵が着床しやすい状態に「ベッドメイキング」されます。
そのようなフカフカな子宮内膜に受精卵が潜りこむことを着床といい、「妊娠成立」となります。
ちなみに、低用量ピルやIUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)は子宮内膜を薄くさせて、受精卵を着床しづらくすることで、避妊効果を発揮します。
多くの場合、月経開始して2週間頃に排卵し、その時期に性交したとすると、性交から1週間頃(月経開始3週間頃)着床します。
もし妊娠が成立し、継続している場合は、更にその1週間後(月経開始4週間頃)、尿による妊娠検査薬で陽性と判定され始めます。
ご自身の排卵の有無やその時期、妊娠が継続しているかどうかを知るためには、毎朝婦人体温計で基礎体温を計測することをお勧めします。