院長コラム

そもそもHPVワクチン接種お勧めの年齢は?

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンのキャッチアップ世代の方が、3回とも無料で接種するためには、今月31日までに最低1回は接種する必要があります(令和7年3月6日現在)。
ただし、自腹でお支払い頂けるのでれば、キャリアアップのキャンペーン期間を過ぎてもHPVワクチンを接種することは可能です。
今回は、定期接種、キャッチアップ接種の枠を離れて、そもそも子宮頚がん予防のためにHPVワクチン接種が可能な年齢について「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023」を基に情報共有致します。

最も推奨される「10~14歳」
性交によるハイリスクHPV(発がん性が高い)の持続感染が、子宮頚がんの原因であることが知られています。
つまり、最もワクチン効果が高いのは、性交経験前に接種することです。
更に、思春期女性はワクチンに対する免疫反応が良いため、HPVワクチン接種の一番のお勧め年齢は10~14歳と言われています。
わが国の定期接種は「小学校6年生から高校1年生相当」であり、14歳までに一回接種をすれば、合計2回の接種で終了となります。
したがって、効率的にも、金銭的にも、体への負担的にも、12~14歳に接種することが「大前提」と考えられます。

次善策として「15~26歳」
次に推奨される年齢は15~26歳であり、できれば定期接種年齢である15~16歳の内に3回接種することが勧められます。
令和7年度に限り、令和6年度に27歳になられた方までキャッチアップ世代になりますので、またとないチャンスを掴むようにしましょう。
尚、この年代で性交未経験の方は、14歳までの女性と同様に高いワクチン効果が期待できますので、前向きにご検討下さい。

希望があれば「27~45歳」
現在、45歳までの年齢層でワクチン効果が証明されているため、ご希望があれば接種することはできます。
特に、令和6年度で27歳の方は、3月末日までに1回でも接種頂ければ、残り2回も令和7年度までなら無料で接種可能です。
28∼45歳の方は、10万円の自己投資”と考えて、3回のHPVワクチン接種はいかがでしょうか。

尚、46歳以上の方のHPVワクチン接種の効果についてはデータがないため推奨はしませんが、接種は可能です。
また、HPV感染の既往者や子宮頚部細胞診で異常がみられた方も、ワクチンで現在の子宮頚部病変の治療はできませんが、今後の新規感染の予防は期待できます。

定期接種やキャッチアップ接種の該当でない方も、ご希望者にはHPV接種が可能ですので、是非ご検討下さい。