院長コラム

月経困難症治療薬「ジェミーナ配合錠」発売開始

平成30年10月4日、月経困難症の治療薬として、新たにジェミーナ配合錠というエストロゲン・プロゲスチン(EP)配合錠が発売されました。
これまでのEP配合剤との違いや当院での使用対象について説明します。

 

 

「ジェミーナ配合錠」は連続投与が可能

ほとんどのEP配合剤は、21または24日間実薬を服用し、7または4日間の休薬あるいはプラセボ(偽薬)の服用により、月に一回の月経様出血を起こさせる「周期投与」となっています。

しかし、実薬をある程度継続して服用する「連続投与」の方が「周期投与」よりも月経痛の改善が認められることが知られており、海外では連続投与が主流になっています。

「ジェミーナ配合錠」を周期投与群と連続投与群とに分けた調査では、3ヶ月の月経困難症スコア(月経困難症の程度と鎮痛剤の使用頻度をスコア化)が、周期投与群では2点未満の低下に留まりましたが、連続投与群では3点以上も低下しました。

ただし、月経以外の不正出血の程度や頻度は、周期投与群より連続投与群の方が多いという結果となりました。それでもそのほとんどは、通常の月経量より少ないか点状出血程度であり、日常生活に支障をきたす方はあまり多くないと思われます。

 

 

連続投与「ヤーズフレックス配合錠」との違い

一年前に認可された「ヤーズフレックス配合錠」も新しい「ジェミーナ配合錠」も、エストロゲン(エチニルエストラジオール0.02mg)は種類・量とも変わりませんが、プロゲスチンは「ヤーズフレックス配合錠」ではドロスピレノン(DRSP)、「ジェミーナ配合錠」ではレボノルゲストレル(LNG)となり、その種類が異なります。

「ヤーズフレックス配合錠」のDRSPは、利尿作用があるためむくみづらく、男性ホルモン様作用が少ないため、にきびの改善も期待できるといわれています。
一方、「ジェミーナ配合錠」のLNGは、子宮内膜抑制作用が強いため不正出血が比較的少なく、より血栓症のリスクが低いと報告されています。

 

 

当院での各薬剤の使い分け

(1)「連続投与」か「周期投与」か

総合的に考えると、そもそも月経痛がつらい方が処方対象になりますので、まず「連続投与」が主体になります。
もし、半年~1年以上たっても月経以外の不正出血が長引くなど、日常生活に支障をきたす場合には、適宜「周期投与」を数周期交えることも検討します。

 

(2)「ヤーズフレックス配合錠」か「ジェミーナ配合錠」か

むくみが気になる方、月経前症候群も認める方、にきびが気になる方、比較的若年の10~20歳代などに対しては「ヤーズフレックス配合錠」をお勧めします。
仕事やプライベートで活動的な方、不正出血を減らしたい方、30~40歳代の方などには「ジェミーナ配合錠」をお勧めするかもしれません。尚、「ジェミーナ配合錠」を処方された方は、この1年間は一か月分ずつしか処方できませんので、毎月受診して頂く必要がある旨、ご了承下さい。

 

 

以上のように薬剤の種類や投与法にはそれぞれ特徴があり、それらを踏まえて処方を検討します。しかし、効果や副作用の現れ方は人それぞれですので、お一人おひとりに合った治療法を丁寧に選択して参ります。
服薬中、気になる症状などがありましたら、ご遠慮なく我々にお伝え下さい。