院長コラム

月経を早める方法・遅らす方法

年末年始の帰省や冬休みの旅行、受験シーズンに向けて、月経周期の調節をご希望される方も多いと思います。
今回は、一般的な月経を早める方法・遅らす方法、そして超低用量~低用量エストロゲン・プロゲスチン(LEP)配合剤を使用している方の月経調節方法について説明します。

 

 

月経のメカニズム

まず、月経周期28日型、排卵日が月経14日目の方を例に、月経のメカニズムについて説明します。
月経7日目頃より卵胞が発育し始め、卵胞からエストロゲンというホルモンは分泌されます。エストロゲンには、子宮内膜組織を増殖させる作用があるため、次第に子宮内膜が厚くなります。
月経14日目頃に排卵した後、黄体という組織からプロゲステロンというホルモンが分泌されます。プロゲステロンの作用により、受精卵が着床するのに適した内膜の状態に変化します。もし妊娠が成立しなかった場合は、エストロゲンおよびプロゲステロンが減少し、その影響で内膜が剥がれ、出血をきたします。これを月経といいます。

 

 

月経を早める原理と方法

卵胞が発育する前に、あらかじめエストロゲン・プロゲスチン(EP)合剤を服用することで、卵胞発育や排卵をさせないように調整し、自分自身のエストロゲン・プロゲストンが分泌しないように押さえ込みます。
その後、EP合剤の作用により子宮内膜が厚い状態で経過しますが、頃合を見計らって合剤の服用をストップします。すると、エストロゲン・プロゲスチンの血中濃度が急激に減少し、月経が始まります。

当院では、月経周期5日目から10日間、中用量EP合剤であるソフィアAを服用して頂きます。服用が終了して3日後に月経が始まるとした場合、月経周期約17日目前後に月経が始まる計算になります。つまり通常は月経周期29日目に次の月経が始まるところ、12日間ほど月経が早まります。

 

 

月経を遅らす原理と方法

月経を遅らせるためには、排卵後、自分自身のエストロゲンとプロゲステロンが分泌している時期に、EP合剤をあえてかぶせて服用します。
次回月経予定日の数日前から、自分自身のエストロゲンとプロゲステロンは減少しますが、EP合剤を飲み続けている間は、子宮内膜は剥がれません。時期を見てEP合剤の服用を終了させると、数日後子宮内膜が剥がれ落ち、月経が始まります。

当院では、次回月経予定日の約5日前から遅らせたい日まで、ソフィアAを服用し続けて頂きます。すると数日後から月経が始まります。

 

 

超低用量~低用量EP合剤を服用しているとき

月経困難症などの治療目的で、超低用量から低用量LEP配合剤(ヤーズ配合錠、ヤーズフレックス配合錠、ジェミーナ配合錠、ルナベルLU錠、ルナベルULD錠などの一相性の薬剤)を服用している場合は、自分自身のエストロゲンとプロゲステロンは抑制されています。
もし、出血を避けたい日の14日前にLEP配合剤を一旦中断すると、その後3日目頃から出血が始まり、7日間程でおさまります。つまり、出血を避けたい日までに、月経を終わらすことができます。
また、月経を遅らす場合は、単純に避けたい日まで服用して頂ければ大丈夫です。

ただし、超低用量~低用量EP合剤の場合は、服用して数ヶ月間は不正出血を認めることが少なくありません。また、服用期間が2週間より短いと、思ったとおりの出血が来ないことがありますので、ご注意下さい。

 

 

月経周期変更を希望される方は、まず月経を早めることを考え、可能であれば月経5日目までに受診して下さい。
また、中用量EPの副作用として、嘔気を認めることがあります。服用後1~2時間以内に嘔吐してしまった場合は効果がないかも知れない旨、ご了承下さい。