院長コラム

新成人女性の皆様へのメッセージ(2) ~たばこは吸わず、葉酸・ビタミンをとりましょう~

前回に引き続き、新成人の方へメッセージを送ります。
今回は、「たばこ」と「葉酸・ビタミン」について説明します。

 

 

○ たばこは吸わない

20歳になれば、法的に喫煙は認められますが、“紙巻たばこ”だけでなく、“加熱式たばこ”も初めから吸わないに越したことがありません。

たばこにはニコチン、タール以外にも約60種類の発がん物質、約200種類の有害物質などが含まれており、がん(肺がん、喉頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、膀胱がんなど)、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中、慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、うつ・パニック障害など、多くの疾患を引き起こします。特に女性にとって重要なのが、子宮頚がん・不妊・骨粗鬆症・皮膚の老化です。

子宮頚がんの原因であるハイリスクHPVは、通常は免疫により排除されることも多いのですが、喫煙者は免疫力の低下から持続感染を許し、子宮頚がんになりやすくなります。

また、たばこに含まれる有害物質の影響で卵巣機能が低下し、排卵障害から月経不順、無排卵、そして不妊になる可能性もあります。

たばこは骨代謝にも悪影響を与えます。通常女性の場合、思春期のエストロゲン(女性ホルモン)の増加に伴い骨密度は上昇し、20歳頃に生涯のピークを迎えます。その頃から骨密度は維持または漸減し、エストロゲンが減少する更年期に激減します。喫煙は骨密度を減少させることがわかっているため、20歳からたばこを吸い続けると、いずれ骨粗鬆症となり、骨折から寝たきりになるかもしれません。

喫煙する女性にとって一番辛いのは、肌、特に顔面の老化でしょう。血行障害によって張り・艶が失われ、小じわが増え、肌が黒ずみます。男性は気を遣ってあまり顔を見ないようにするでしょうし、女性のお友達もわざわざ指摘することはしないでしょう。そのため、本人だけが気付かず、20代からどんどん老化が進み、若返ることは決してありません。

 

 

○ 葉酸・マルチビタミンのサプリメントを習慣に

将来妊娠した時、赤ちゃんに異常がないかどうかは、妊娠する前の生活習慣が大きく影響します。
赤ちゃんの奇形の一つに二分脊椎という神経管の癒合不全の病気があります。その原因の一つに、妊娠前から妊娠初期にかけての葉酸不足があります。全ての組織が形成されるためには、葉酸を含むビタミンB群の働きが不可欠です。特に胎児が形作られる妊娠初期には、非妊娠時よりも多くの葉酸摂取量が推奨されています。

ただし、妊娠が判明する時には、すでに胎児は作られ始めているため、その時期には必要量の葉酸が母体にないといけません。つまり、妊娠が判明してから慌てて摂取量を増やしても遅いのです。本来であれば、妊娠する1ヶ月以上前から、通常の摂取推奨量よりも多くの葉酸を摂取することが推奨されていますが、よほど妊娠を計画していないと難しいと思います。そのため、20歳になったら、日頃からバランスのとれた食事を心がけ、葉酸・マルチビタミンのサプリメント摂取を習慣にすることをお勧めします。

ちなみに18歳以上の女性の葉酸摂取推奨量は1日240μgで、妊娠を計画している女性または妊娠の可能性がある女性は640μgといわれています。400μgの付加分を食品だけでまかなうことは大変厳しいため、上手にサプリメントを利用しましょう。

 

 

20歳は卵巣機能も安定し、性成熟期に入った時期です。大人の女性としてこれからの人生を健康に過ごすためには、スタートが何より大切です。素敵な女性を目指して、よりよい生活習慣を身につけましょう。
私たちも新成人の皆様をサポートして参ります。