院長コラム

地域医療研修の受け入れ

以前より、地域の病院で勤務されている研修医を受け入れ、玉川エリアの地域医療研修に協力させて頂いております。
今回、2日間に渡り女性研修医の先生に外来を中心に見学してもらいましたが、当院が地域医療研修を受け入れる意義について考えてみました。

 

 

大病院とクリニックとの医療の違いを学んでもらう

研修医のほとんどは大学病院や高次施設で研修を行いますが、地域医療にも触れる必要があるため、地域医療研修というカリキュラムが組まれています。

基本的な手技から高度な医療まで、幅広く、そして深く学ぶためには研修カリキュラムが充実した大病院が適しています。

しかし、日本の医療の半分以上は一次医療施設であるクリニックが対応しています。研修医が医師として成長するためには、クリニックの医療・役割に触れ、大病院との違いを知ることが必要です。

 

 

目指す診療科とは異なる科を学んでもらう

研修では2年間で様々な診療科を回りますが、将来自分が進もうとしている診療科とは異なる科を研修することは、医師としての幅を広げるために、非常に重要です。

当院は産婦人科のため、医師による妊婦健診だけでなく、助産師や栄養士による妊婦さんへの指導なども、研修中に見学してもらっています。他科に進む先生にはあまり関係ないように思えますが、妊婦さんは、ほぼ全ての診療科へ受診する可能性があります。その時に、少しでも産婦人科での研修がお役に立てればと、願っています。

 

 

病診連携の重要性を学んでもらう

高次施設だけの研修では、決して一次施設が担う地域医療は見えません。一次医療からどのような患者様が、どのような理由で高次施設へ紹介されるのか。また反対に、患者様にとって、どのような状態の時に、高次施設から一次施設へ移るのが望ましいのか。このような病診連携の望ましいあり方を考える機会に、地域医療研修がなればと思います。

当院は、小さな産婦人科医院ですので、患者様のために我々ができることは限られています。最善の医療のためには、病診連携というネットワークが不可欠です。研修医の先生には、患者様のために様々な立場・職種の方々が連携し、協力することの大切さを学んで欲しいと思います。

 

 

今回当院で研修された先生は、将来救命救急医を目指しているそうです。いつの日か、当院の患者様をその先生に救って頂く日が来るかもしれません。
長い目で見ると、実は研修医を受け入れることで、私の方が助けて頂いているのでは、と思っています。