過多月経に対する4つの治療法|世田谷区の産科・婦人科

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院長コラム

過多月経に対する4つの治療法

経血量が80mlを超えると60%以上の女性で貧血が認められるという報告があり、わが国での過多月経の定義では「140ml以上」となっています。しかし、実際の経血量を1回1回計ることはほとんどなく、主観的な印象や生理用品の取り替える頻度などで過多月経を判断することが一般的です。
日常生活を支障きたす程の過多月経がある場合はもちろん、経血量は普通と思っていても健康診断などで貧血を指摘された場合は、婦人科的に精査する必要があります。
今回は過多月経に対する代表的な治療について説明致します。

 

 

○ 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)

過多月経は保険適応ではありませんが、月経困難症を認める場合は保険適応になります。当院では、禁忌でない方に対してヤーズフレックスあるいはジェミーナという、長期連続投与が可能なLEPを中心に処方しています。

LEPは低用量ピルと同じ成分ですので、避妊したい方は特に適しています。もし、妊娠を希望される場合は、服薬中止後2~3ヶ月で排卵が戻ってきます。

ただし、50歳以上の方、血栓症の既往がある方、35歳以上でたばこを1日15本以上喫煙している方、妊娠ヘルペスの既往歴がある方など、LEP製剤が禁忌である方には使用できません。

 

 

○ 子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)

子宮内にIUSを挿入し、そこから高濃度の黄体ホルモンを持続的に子宮内膜に放出する治療法です。黄体ホルモンは子宮内膜を薄くさせる作用があるため、経血量を減らすことができます。また、月経痛の原因であるプロスタグランディンの産生も抑えるため、月経困難症の治療にも保険が適応になっています。

最長5年間留置しておくことが可能で、LEPでは禁忌となっている血栓症の既往のある方や喫煙者、50歳以上の方にも使用することができます。

ただし、子宮筋腫で子宮内腔が変形している場合や性感染症にかかっている方は禁忌になっています。また、挿入時の疼痛、装着後の骨盤内炎症疾患などの副作用をきたすことがあり、自然に脱出してしまうケースも数%に見られます。

尚、IUSはLEPと同様に避妊効果も高いため、妊娠を希望しない時期には有用であり、妊娠を希望する際に抜去すれば、妊娠が可能な状態になります。

 

 

○ 偽閉経療法(GnRHアゴニスト)

子宮筋腫が内膜を圧排することが過多月経の原因になっている場合は、卵巣機能を低下させ、卵胞ホルモンの分泌を減少させる、偽閉経療法が行われることがあります。連日の点鼻薬あるいは月に一回皮下注射を行うと、2~3ヶ月目には月経がなくなり、次第に子宮筋腫も縮小します。

ただし、のぼせ、ほてりなどの更年期症状を認めることがあり、副作用を抑えるために漢方療法を行うこともあります。また、長期間連続して治療すると、骨粗鬆症のリスクが高まるため、1年のうち6か月間までしか使用できません。

特に偽閉経療法が効果的であるのは、手術前に筋腫を縮小させ、貧血を改善する目的で行う場合や50歳前後で本当の閉経まで逃げ込むように使用する場合です。

 

 

○ マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)

当院では行っていませんが、数年前に保険適応になった比較的新しい治療法です。マイクロ波という電磁波を利用して、子宮内膜全面を焼灼する方法で、妊娠の希望のない方が対象になります。従来であれば子宮摘出術の適応であったケーシでも、手術をしない方法として今後増えると思われます。

ただし、現在MEAを行っている施設は限られており、施設によってもその適応に多少差があるようです。

 

 

上記以外の薬物療法としては、止血効果のあるトラネキサム酸(トランサミン)、キュウ帰膠艾湯(保険適応は痔出血)を用いることがあります。
当院では、LEPとIUSが過多月経治療の二本柱ですが、粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープが認められた場合は、早めに高次施設などに紹介することがあります。
過多月経はほっとくと、重篤な貧血になります。レバーのような経血を認めた場合や健診で貧血と診断された場合は、是非婦人科を受診して下さい。

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