院長コラム

胎動について

胎動とは、胎児身体の部分的または全身的な運動で、胎児の健康状態や中枢神経系の発達過程を知る上で、大変重要な情報のひとつです。
今回は胎動について説明します。

 

 

妊娠初期~中期

胎動は超音波検査で妊娠8週頃から確認でき、妊娠週数とともに動く回数が増加し、動きが活発になります。

妊娠16-20週頃になると母体が胎動を感じるようになります。
胎児は常に動いているのではなく、20~30分おきに休息と胎動とを繰り返します。

 

 

妊娠後期

羊水量が増加するため、妊娠32頃には胎動を頻繁に感じられるようになります。その後は胎動が落ち着いていくことが多いのですが、胎児の健康状態が良好であれば、全く感じなくなることはありません。むしろ、胎児の状態が悪いと、胎動は減少します。

ちなみに、時々「痙攣様の胎動」を認めることがありますが、胎児の「しゃっくり」であることが多く、元気な証拠ですので心配いりません。

 

 

胎動カウント法

母体が胎動によって胎児の健康状態を把握する方法に二種類の「胎動カウント法」があります。ひとつは一定の胎動回数をカウントするのに要した時間を測定する方法であり、もうひとつは、一定時間内に胎動数をカウントする方法です。
妊婦さんの負担が少なく、通常用いることが多い「テンカウントタイム法」について説明します。

 

 

テンカウントタイム法

10回の胎動を自覚するのに要する時間を測定する方法であり、胎動が活発な時には短時間で測定が終了するため、簡便なスクリーニングとして用いられることが多い方法です。

ある報告では、妊娠28週以降のテンカウントタイムの平均は10~15分であり、90%の方は約35分以内であったそうです。

 

 

ただし、以上のような胎動数のカウントによっても、的確に胎児機能を評価することは困難であり、そもそも母体の胎動の感じ方もまちまちであるため、突然の子宮内胎児死亡を防ぐことには限界があります。
胎動が急に弱くなったら、超音波検査やノンストレステスト(NST)などで胎児胎盤機能を評価しますので、是非ご連絡下さい。