産褥期の抑うつ・不安は“至極当然”な現象|世田谷区の産科・婦人科

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院長コラム

産褥期の抑うつ・不安は“至極当然”な現象

今回は前回に引き続き、総合研究大学院大学の進化生物学の先生のご講演と、その後の懇親会で伺ったお話を中心に、ヒトの妊娠・産褥についてお伝えしたいと思います。

 

 

ヒトは“極端な超未熟児”

ヒトは進化の過程で脳を極端に発達させてきた結果、他の動物と比べても脳の容積が大きくなってしまいました。他の動物のように骨盤を通って赤ちゃんを産むためには、赤ちゃんの頭が骨盤の広さより小さいうちにお産する必要があります。

本来、ヒトの新生児を他の動物の新生児と同等な状態まで成長させるには、妊娠“21ヶ月”まで母体の子宮の中で育てる必要があると言われています。しかし、ヒトはわずか妊娠10ヶ月で赤ちゃんを産まないといけないので、結果的にかなり未熟な状態でヒトの赤ちゃんは生まれてくる事になります。

 

 

そもそもヒトの赤ちゃんは母親だけでは育てられない

極端な超未熟児にもかかわらず、どうしてヒトは淘汰されずに生き延びてこられたのか?
それは、社会・共同体のおかげです。ヒトは厳しい自然の中で生き抜くために、脳を発達させますが、その目的は高度な社会性を身につけるためだともいわれています。高度な社会性・共同体があるおかげで、超未熟児の育児も社会全体が協力し、その結果、さらに社会が発展していく、といった好循環が現代まで継続してきたのだと思います。

つまり、頭が大きいためにヒトは超未熟児として生まれざるを得ませんでしたが、頭が大きいがゆえに社会性を発達させて、皆が協力して超未熟児を育てることできた、とも言えます。

 

 

分娩後のホルモン変化も意味がある?

妊娠中、胎盤から分泌されている女性ホルモンですが、赤ちゃんが生まれて、胎盤が娩出すると、当然急激に減少します。そのことが褥婦さんの精神状態に影響を及ぼす可能性も少なくありません。

そのような母親が、一人で超未熟児を育てることはどだい無理なことです。「夫はもちろん、親、家族、親族、地域社会などが協力し合って子育てする」ということが、ヒトの場合は必要不可欠です。

そうだとすると、分娩後の劇的なホルモン変化は、周りのみんなに育児を手伝ってもらうための、お母さんに無理をさせないための、そして過度に頑張らせないための進化生物学的な知恵なのかも知れません。

 

 

進化生物学的な話は仮説かもしれませんが、産褥に抑うつや不安感が大きくなるのは特別なことではなく、ヒトとして至極当然なことである、と考えられます。
当院では「社会全体で育児をサポートする」という思想の基、「母乳外来」や「すくすく外来」などを通して、お母さんをサポートしたいと考えており、メンタルクリニックや行政との連携にも力を入れております。
産褥期の抑うつや不安感などでお悩みの方は、是非お気軽にご相談下さい。

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