子宮内膜症による月経困難症に対する主な薬物療法|世田谷区の産科・婦人科

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院長コラム

子宮内膜症による月経困難症に対する主な薬物療法

子宮内膜症は月経困難症や性交痛、慢性の骨盤痛などの原因になるだけでなく、子宮内膜症患者さんの約半数が不妊症になるともいわれています。
子宮内膜症が軽症であるうちは、鎮痛剤や漢方薬による対症療法でも対応可能ですが、約20%の方は鎮痛剤を用いても疼痛をコントロールできないとの報告があります。
今回は、子宮内膜症による月経困難症に対する主な薬物療法について、その有用性と注意点について説明します。

 

 

① 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP製剤)

月経とは子宮内膜が剥がれ落ちる現象であり、その子宮内膜組織から子宮を収縮させる痛み物質が分泌されます。したがって、子宮内膜を薄くさせ、痛み物質を減少させることで月経痛を軽減させることができます。

LEP製剤は卵胞ホルモンであるエストロゲンと黄体ホルモンであるプロゲスチンの2種類からなっていますが、黄体ホルモンに子宮内膜組織の増殖を抑える作用があるため、月経困難症の治療、軽症の子宮内膜症の治療や予防として有用です。ただし、経口避妊薬でもあるため、すぐには妊娠を考えていない女性に対して使用します。

LEP製剤には、21日間実薬+7日間休薬タイプ、24日間実薬+4日間休薬タイプ、77日間実薬+7日間休薬タイプ、120日間実薬+4日間休薬タイプなど様々な種類があります。子宮内膜症による月経困難症に対する治療としては、できるだけ月経の頻度も少なくしたいため、120日間実薬+4日間休薬タイプであるヤーズフレックス配合錠あるいは77日間実薬+7日間休薬タイプのジェミーナ配合錠を選択することが当院では多いです。

LEP製剤は妊娠を希望されるまで長期間にわたり使用できますが、頻度は少ないながらも血栓症というエストロゲンの副作用があります。血栓症の既往がある方、35歳以上で1日15本以上の喫煙者、前駆症状を伴う扁頭痛持ちの方などには使用できません。

 

 

② ディナゲスト(強い黄体ホルモン)

LEP製剤でもコントロールが困難な重症例やLEP製剤禁忌例や副作用が強い方には、強い黄体ホルモンであるディナゲストを用います。
子宮内膜組織に対して直接抑制する作用があるため、月経痛はもちろん、月経以外の慢性骨盤痛・性交痛・排便痛・腰痛などの疼痛に対してLEP製剤より効果的です。

エストロゲンを含んでいないため血栓症の心配はなく、卵巣から分泌されるエストロゲンもやや低下する程度であるため、更年期障害様症状や骨粗鬆症などはあまり気にせず、長期使用が可能です。そのため、40歳代から自然閉経までの「逃げ込み療法」に適しています。

ただし、不正出血をきたす頻度が高く、特に服用数ヶ月は大出血する方もいらっしゃいます。そのため、LEP製剤あるいは後述のGnRHアゴニストをしばらく使用して内膜を薄くしておいてからディナゲストに切り替えるなど、不正出血を減少させる工夫もあります。
また、排卵を抑制することもあるため、すぐに妊娠を希望されている方には不向きです。

 

 

③ デュファストン(天然に近い黄体ホルモン)

デュファストンも黄体ホルモンであるため子宮内膜増殖を抑えます。ただし、子宮内膜変化に必要な用量程度であれば、排卵を抑制することがないため、治療中に妊娠が可能です。そのため、子宮内膜症の方が妊娠を目指しながら症状を改善したい場合に適しています。

また、子宮内膜症に対する腹腔鏡下手術療法の後にデュファストンを投与したところ妊娠率が上昇したとの報告があります。

ただし、デュファストンは天然に近い黄体ホルモンであり、疼痛コントロールの点では前述のディナゲストより効果が弱い印象があります。

 

 

④ リュープロレリン皮下注・スプレキュア点鼻薬(GnRHアゴニスト)

GnRHとは脳の視床下部というところから分泌され、下垂体に作用するホルモンです。GnRHの作用により下垂体からゴナドトロピンというホルモンが分泌され、それが卵巣に作用してエストロゲンを分泌させます。

GnRHアゴニストとは人工的なGnRHであり、それを投与することで、一時的に過剰に下垂体からゴナドトロピンが放出し、エストロゲンが増加します。しかし、持続的に人工的なGnRHが過剰投与されると、下垂体が麻痺してしまい、ゴナドトロピンの放出が減少し、その結果エストロゲンが低下します。

皮下注・点鼻薬ともに疼痛症状の改善率は80%以上ですが、更年期障害や骨量の減少を認めることが多いため、1年のうち6か月までの投与しか認められていません。したがって、40歳代後半の方の閉経逃げ込み療法や前述のディナゲスト使用前に用いられます。

 

 

当院では子宮内膜症患者さんのご年齢、妊娠希望の有無やその時期、症状の内容や程度、日常生活への影響など、総合的に検討してより望ましい治療法をご提案致します。
月経痛はもちろん、月経以外での下腹部痛、性交痛、排便痛などがありましたら、是非いらして下さい。

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