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院長コラム

女性アスリートと無月経

3ヵ月以上月経を認めないことを無月経といいますが、無月経を一度でも経験している女性アスリートの方は決して少なくありません。
今回は、「若年女性のスポーツ障害に関する研究」を参考に、女性アスリートの無月経の原因と治療について説明します。

 

 

“エネルギー不足”が無月経の原因

女性アスリートに多い無月経の原因は「利用可能エネルギー不足」、いわゆる「エネルギー不足」と考えられています。これは、運動による消費エネルギー量に見合った食事からの摂取エネルギー量が不足している状態をいいます。

エネルギー不足が長時間続くと、脳からのホルモン分泌が低下し、視床下部性無月経となります。この状態では女性ホルモンであるエストロゲンも低下します。エストロゲンは骨密度の維持・増加には必要不可欠はホルモンであるため。その低下により骨密度が低くなります。

更に、必要なカロリーや栄養素を食事から摂取することが困難になると、しだいに低体重・低栄養状態になり、骨への負荷の減少や骨を作る材料不足のため骨粗鬆症をきたし、疲労骨折へと繋がる可能性があります。したがって、無月経は決して放置せず、エネルギーバランスを改善する必要があります。

 

 

エネルギー不足による無月経の治療

女性アスリートの無月経治療の原則は、食事料を増やすことと、運動量を減らすことです。運動量については指導者の管轄ですので、ここでは摂取カロリー増量について説明します。

アメリカスポーツ医学会の治療指針は、

① 最近減少した体重をもとに戻す
② 月経が来ていた時の体重に戻す
③ 成人ではBMI:18.5以上、思春期では標準重体重の90%以上にする
④ 摂取エネルギーは最低2.000kcal/日とする

の4つです。また、国際オリンピック委員会でも、1日300~600kcal摂取エネルギーを増やすことを推奨しています。体格が小柄な日本人にとっての治療指針はまだありませんが、一つの参考にはなるでしょう。

また、無月経のアスリートは炭水化物の摂取量が少ない傾向にありますので、栄養素バランスのよい食事を心がけるとともに、炭水化物を補食するようにしましょう。

摂取カロリーが増加し、エネルギー不足が解消されたにもかかわらず無月経が持続し、エストロゲンの増加が見られない場合はホルモン治療を行います。ただし、その場合も、摂取カロリーは減少しないように、引き続き注意します。

 

 

炭水化物(糖質)を多く含む食品

以下に炭水化物を多く含む食品をいくつか挙げていますので、補食の参考にして下さい。

ごはん 茶碗1杯   150g 252kcal
ごはん 丼 1杯   300g 504kcal
ごはん おにぎり1個 100g 168kcal

食パン 6枚切1枚   60g 158 kcal
もち  切り餅1個     50g 112 kcal
うどん 1玉     250g 263 kcal

スパゲティ 1人前  200g 330kcal
コーンフレーク    40g 152kcal
100%オレンジジュース225g   95kcal
バナナ 1本     100g    86kcal

 

 

今回、女性アスリートの方を対象に説明致しましたが、ここでいう「女性アスリート」とは、決してプロの方や日本代表クラスのエリートアスリートの方だけを指しているのではありません。
中学、高校、大学でスポーツに一生懸命取り組んでいる多くの女性も対象としています。
「スポーツをして体重が減少し、月経が不順になった」ということがあれば、これ以上状態が悪化する前に、是非一度受診して下さい。

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