大規模災害時の妊産婦・褥婦の救護|世田谷区の産科・婦人科

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院長コラム

大規模災害時の妊産婦・褥婦の救護

今回の西日本豪雨は甚大な被害をもたらし、多くの尊い命が犠牲となりました。心よりご冥福申し上げます。
また、被災者の方々におかれましては、謹んでお見舞い申し上げます。
この災害では、多くの妊産婦さん、褥婦産さんも被害に遭われたと思います。
今回は「産婦人科診療ガイドライン 産科編2017」から「大規模災害や事故に遭遇した女性の救護は?」のポイントについてお伝えしたいと思います。

 

 

一般的なトリアージ(負傷者救護優先順位分類)

大規模災害では多数の傷病者が発生するため、現場の医療機関では患者さんの重症度に基づいて適切なトリアージを行う必要があります。

第1優先  緊急治療群     直ちに治療すれば救命の可能性が高い
第2優先 準緊急治療群 治療の必要はあるが緊急性の低いもの
第3優先 待機群              傷は存在するが待機が可能なもの

 

 

妊婦さんのトリアージ

一見健常にみえる母体であっても、子宮内環境が激変することにより、突如として母児ともに急変することがあります。
そこで、妊娠22週以降の妊婦さんの場合、症状が全く認められない方であっても、全例が第2優先となります。
更に、破水、性器出血、腹痛、胎児死亡のいずれかが認められた場合は、第1優先になります。

 

 

トリアージ後の搬送先

妊婦さんの搬送先は、産科だけでなく新生児科の整備された後方支援病院に、直接搬送されることが望ましいとされています。
特に妊娠22~35週の場合は、MFICU(母体胎児集中治療室)とNICU(新生児集中治療室)の両方が整備されている病院が最良です。

 

 

母乳育児の支援

大規模災害後の避難生活などでは、母乳育児中の母親は母乳育児を継続することが推奨されています。十分な母乳は、必要な栄養と感染防御力を乳児に提供することができるため、下痢や呼吸器感染などの予防になります。
妊産婦さん・褥婦さんが長期避難を余儀なくされる場合には、栄養・衛生に関しては優先的に配慮されなければならず、母親が落ち着いて母乳育児ができる環境をつくる配慮も重要です。

 

 

産後うつ・PTSD(心的外傷後ストレス)

大規模災害後、産後うつ・PTSDは極めて高率に発症するとの報告があります。もともと女性にとって出産後は生涯のうちで最も精神障害を発症しやすい時期ですので、心理専門家による早めの介入が必要であるといわれています。

 

 

玉川エリアでは、近隣の医師会や東京医療センターなどを中心に災害時の対策が取られ、定期的に訓練が行われています。ただし、妊産婦さん・褥婦さんへの地域での対策は必ずしも十分ではありません。
当院でも年に2回、院内の防災訓練を行っていますが、災害時における後方支援施設との連携についても、今後検討していきたいと思います。

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