シンポジウム「女性に寄り添う産婦人科医療のあり方について」を踏まえて、当院ができること|世田谷区の産科・婦人科

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院長コラム

シンポジウム「女性に寄り添う産婦人科医療のあり方について」を踏まえて、当院ができること

昨年12月、平成30年度家族計画・母体保護法指導者講習会が開催され、「女性に寄り添う産婦人科医療のあり方について」をテーマとしたシンポジウムが行われました。
「日本医師会ニュース」に記載されていましたシンポジウムの内容を踏まえて、当院として“何をすべきか”考えてみます。

 

 

プレコンセプションケアの重要性

“プレコンセプションケア”とは、妊娠前から女性の健康を管理し、心身の状態をケアすることで、今後更に重要になってくるとの事です。高血圧症・循環器疾患・血栓症・腎疾患・糖代謝異常症・甲状腺疾患・感染症など、妊娠前からこのような疾患を抱えている場合は、次の妊娠やライフビジョンを考えて対応することが大切であり、出産後も引き続き管理する必要があると、記事では伝えています。

当院では妊娠を検討していらっしゃる方で、現在の状態を把握したい方を対象に、“ブライダルチェック”として、体重・血圧・各種血液検査・感染症検査・子宮頚がん検査などを中心に検査しています。もし、異常が見つかれば、当院で治療を進めたり、専門の診療科へ紹介し管理・治療をお願いするなど、妊娠前から早めの対応を心がけています。

現在当院では希望者のみに“ブライダルチェック”を行っていますが、今後は不妊相談の方、流産手術をされた方、今後妊娠を考えている世田谷区子宮がん検診にいらした方など、もっと多くの方々に“プレコンセプションケア”の重要性をお伝えし、“ブライダルチェック”をお勧めしていこうを思います。

 

 

神経性やせ症の予防

他のシンポジストの先生からは、周産期の健康だけでなく、その子どもの将来にも影響を及ぼす因子として、①やせていること、②子宮内膜症を例に挙げて説明されたそうです。
①については、特に神経性やせ症の予防のためには妊娠前の教育、心理面・栄養面のサポートが必要であるとのことでした。

実臨床で、やせていることだけで婦人科を受診することはなく、当院について言えば、月経不順や無月経など月経トラブルを主訴に受診され、体重測定で“やせ”が判明することがほとんどです。一般的な血液検査で貧血・低蛋白・肝機能異常・腎機能異常・電解質異常などの有無、ホルモン検査などで卵巣あるいは甲状腺機能異常の有無などを確認し、当院の栄養士による栄養指導や漢方療法、必要に応じてホルモン療法を行っています。また、神経性やせ症の場合には精神科医と連携をとることもあります。

本来であれば無月経(3ヶ月以上月経がみられない)となる前に精査することが望ましいため、将来妊娠を考えていらっしゃる方であれば、子宮がん検査、月経困難症、外陰部症状、経口避妊薬希望など、直接“やせ”と関連していないような主訴で受診された方に対しても、体重管理の重要性をお伝えすることが、やせによる無月経の予防になるのではと考えています。

 

 

子宮内膜症の治療

シンポジストの先生から、「子宮内膜症に対する適切な治療が遅れると大きな問題を引き起こすため、若年でも子宮内膜症を発症する可能性があることを念頭に、診療にあたることが望ましい」と発言があったそうです。

当院では、思春期であっても月経困難症の第1選択治療薬は低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP製剤)としています。最初からEP合剤の服薬に抵抗がある方には、漢方療法などから開始することもありますが、将来の子宮内膜症を予防する意味でも、EP合剤服用の意義を繰り返し説明しています。

「ホルモン剤」服用に強い抵抗を示すのは、思春期や20代前半の方よりも、お母様世代の方々の方が多いかもしれません。しかし、そのお母様世代である40~50歳代は、子宮内膜症の怖さを肌で感じたり、話を聞いたりしている世代でもあります。40~50歳代の方にも是非、子宮内膜症と不妊症の関連やLEP製剤の意義についてご理解を頂き、一緒に次世代の子どもたちを守っていくことができればと思っています。

 

 

“プレコンセプションケア”のポイントは“教育・啓発”であると思います。
離乳食から思春期までの家庭での“食育”、中高生に対する“性教育”、10代後半から40歳前後にかけての“妊娠に関する啓発”など。これらを充実させるためには、教育、栄養学、行政など多くの分野が連携する必要があります。
「そのために何ができるか?」当院としてもこのことを常に問い続けていきたいと思います。

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